NO,111 田んぼ通信 平成15・12・15

 今年も、残すところ半月となりました。 お陰様でこの一年、無事おコメを届けることが出来ました。本当にありがとうございました。  アットいう間の一年でした。
おコメの産直活動を始めたきっかけは、H5年の大冷害でした。
 あれから丁度、10年目。 今年は、再び冷害にみまわれました。当地方に限ってみれば、H5年よりも 作柄は悪く10アール当たり150キロ〜180キロという最悪の田んぼがたくさんありました。7月中旬から下旬にかけて、17度を下回る気温が続いたことと、後半の9月にかけても日照不足が続いた事が大きく影響しました。
 今年の冷害の特徴は、田んぼによって被害の程度に、多くのバラツキが出た事です。
 我が家では、10数ヘクタールの田んぼに米を作付けしています。田んぼの条件によって水管理が思うようにいかなかった田んぼは、大きな被害が出ました。しかし、10年前の冷害の経験を生かし、冷害に負けずと田んぼに通った甲斐がありました。平年作には及ばなかったものの、皆様にお届けする米が確保できましたのでひと安心しております。
 田んぼは正直ですね。
 先日、スーパーのお米売り場をのぞいてビックリ。5・6年前の古米をブレンドしたと思われる米は別として、今年度産米が異常に上がっているではありませんか。私達は、美味しいお米をどんな時でも安心して食べていただきたい。そのためには、安定した米生産供給システムを創りたいものだ。そんな思いで、この10年来皆様とお付き合いをさせていただきました。 今年の冷害の最中でも、おコメを食べていただいている皆様のお顔を思い浮かべながら懸命に田んぼに通いました。その甲斐あって、これからの一年間これまで通りの条件で、皆様に届けるお米を確保する事が出来ました。
 安心して、腹いっぱいお米を食べて下さい。
 私達は、基本的食料のコメは安定供給が何よりも必要だと考えております。戦後50数年間その供給システムは、食管法の名のもとにすべて国が担ってきたといえます。しかし、食管法から新食糧法に移行した今、安定供給システムを創り担っていくのは、私達 コメ作り農家であります。しかし、それらを確固たる社会システムとして確立するためには、毎日 私達のおコメを食べ続けてくれる、ひとりひとりの消費者の皆様の存在と支援だと思えてなりません。 
 今日までの農政が 農家対策に特化しすぎたため、肝心の田んぼに情熱を注ごうとする若者から毛嫌いされるくらい コメ政策は、無責任で分かりにくいものになってしまいました。
 私は、決して競争社会を標榜するものではありませんが、日本の米作りの根底にあると思われる「ムラ社会の思想」を改めない限り、活力ある新しい日本の米作りは生まれないだろうと思っています。
 私の尊敬する経済評論家・内橋克人先生は最新書 「節度の経済学・の時代・・・市場競争至上主義を超えて」のなかで<<< 21世紀へむけて日本は明らかに「市場競争原理至上主義」へと「帰らざる河」を渡ってしまった。競争至上主義は「分断」「対立」「競争」を原理とする。都市の消費者と農村の生産者を分断し・・・・・・・。>>>と語っています。私達百姓には、難しい理屈は必要としません。しかし、田んぼから逃げ出さずに田んぼを作りつづけることこそが、社会的使命を果たしているのだと信じています。
 おコメを食べていただいている皆様も、角田の田んぼを思い浮かべながら これからもお米を食べ続けてください。
 そのような、一人一人の毎日の積み重ねによってのみ、内橋先生が語る 新しい「農的価値の時代」が到来するのだと信じています。
                         皆さんよいお年を・・・。


NO,110 田んぼ通信 平成15・11・13

 立冬も過ぎ、里の山々も色付いてきました。この季節になると、♪し〜〜ずかあな〜〜し〜ずかな〜♪ なんて童謡を口ずさみながら田んぼで作業をしています。
こころから、淋しさを実感する季節です。今年も残すところ一ヵ月半余り。
今年は10年振りの冷害、しかも時代の大きな変革期。自ずと、たくさんのことに思いをめぐらす季節でもあります。
 農作業は、大豆の収穫もほぼ終わり、来年に向けての麦作付けも予定どおり終わりました。ここ、2週間余り朝早くから夜遅くまで必死に働きました。幸い10月末から、つい最近まで天気が続きましたので順調に農作業が進みました。農作物は、生き物。種を蒔く時期・収穫時期など作業適期は自ずと限定されます。それも、コントロール不可能な天気相手の作業です。つい最近まで、あんなに天気が続いたのにここ数日は、雨模様。油断できません、今日も雨が降ってきました。地域的には、まだ多くの大豆収穫が残っています。品質の低下が心配される状況になりました。
 農作業は、やれるときに作業を進めておかないと、収穫に大きく影響します。これは、百パーセント天気に依存する、土地利用型農業に宿命です。農業で生計を立てている者にとっては、当たり前のことであり必要なときに働き 休むときには休めばいいのです。
 それが、良くて百姓になったのです。 そういう、自分なりの行動が出来るのが百姓であり、世の中の経営者と言われる人を含めた自営業者の生き様なのでしょう。当然、それらの行動に伴う自己責任はありますが・・・。
 それを、農業も定休日を設けましょう。時間を決めて働きましょう。なんてことを、指導機関なるものが口にする。 そう思っている連中は、最初から百姓にはならない。殆どが農業指導機関なるものにお勤め。まったく余計なお世話。そんな余計な仕事を作らないと 仕事がなくなる職場が日本の農業関係機関に多いこと多いこと。
 ところで、来年度から日本のコメ政策が大きく変わります。
 簡単に言えば、指導機関を当てにして暮らせた農業から、自分の頭で考え行動する農家でないと生き残れないということ事になると思われます。
 これまでの農政は、ありがたすぎましたね。
たとえば、農家の皆さん忙しくて大変でしょう。余計なことを考えることはありません、農業経営のみならず、家族の約束事まで中に入って心配してあげましょう。それも、ちゃんと家族協定なる文書をつくって関係機関で調印式のセレモニーまでしてあげます。なんて事を、忙しい忙しいといって平気で仕事としてやってますからね。
 そんなに良かったら、兼業農家たる普及センター職員が率先して調印式に参加しているのかと問えば、私達はそんなことをしなくても大丈夫です。「必要ありません」、というお答え。
 今年の冷害を機に、これまでの農政、特に稲作に関する農政の矛盾が、大きくクローズアップされてきました。本音の議論が、必要な時期になったといえます。
 農業指導機関の基本的役割も、時代の変化と共に大きく変わる時期にきたといえます。
 一生懸命、コメ作りに取り組んできた後輩がポツリと一言「生産調整でガンジガラメの農政の中で、全てが中途半端になってしまった。できることなら百姓やめたい」


NO,109 田んぼ通信 平成15・10・15

 田んぼは、稲刈りが終わり人影もなく、ひっそり静まりかえっています。 終わってみればH5年以来、10年ぶりの冷害でした。 地域的には、H5年よりも冷害の被害は大きいようです。これから、いろんな角度から冷害の検証が行なわれるでしょうが、是非コメ生産構造システムからの検証を望みたいものです。
 冷害に対する技術対策は、十分に確立されていると思います。問題なのは、いくら立派な技術があっても それを駆使して現場で生かすのは、農家・農民という「人間」だということです。ここを活性化しない限りは、冷害の被害は繰り返されるでしょう。
 技術を開発するのも「人間」ですし、それを普及伝達するのも「人間」です。また、このところマスコミ等でも冷害関連の話題が取り上げられています。その中で、・・・研究家、・・・評論家、消費者の皆さんが、おコメのことを心配していろんな角度から論評していただいています。大変ありがたいことです。その人達も「人間」です。
 日本の農作物の中で、これほどたくさんの「日本人」がかかわりを持って生産される作物はないはずです。それだけ「おコメ」は、日本人の日常生活に深く係わりをもっているからでしょうが、肝心の稲の立場からすればどうなのか、冷害を機に考えてしまいます。 寒いときに田んぼに水を深く入れる等の水管理をするのは、誰なのか。土作りと一口にいうけれど、誰が実際に土を耕すのか。
環境問題や国土保全というけれど、いったい誰がそれをやるのか。
人間の生存そのものが、地球環境に負荷をかけているのではないかという素朴な疑問。環境保全型農業と言うけれど、そもそもコメ作り農業(産業)の目的は、日本人の基本的食料の「コメを安定的に生産供給」することであり、環境を守ることではないはずです。 日本人が食べるコメを産みだす産業として、日本のコメ農家が存在するには、安全なコメの生産や環境に配慮した生産システムに基づいた農業を考えることは、産業人として当たり前のことです。
 今回の冷害で改めて感じることは、コメに関して「生産に携わる関係者」そして「コメを食べる人」それぞれの立場で、評論家ばかりが多くなり肝心の「誰が何をする」という責任の所在が曖昧になったということです。
 「誰が」田んぼの稲に対して責任を持つのか。一口にコメ農家と言うけれど、ここ十数年で農家そのものが大きく変わってきてます。「誰が」、「誰に」日本人のコメの生産を任せるのか。それらを、円滑にする為に政治や指導機関を含めた農業関係機関が存在してきたはずです。
 今回の冷害を機に、「評論家等に代弁してもらうコメ作り」ではなく「誰が」何をするのかと言う「主語と責任」の所在をはっきりさせたコメ生産システムに変えるべきだと考えます。それと同時に、地球環境問題や環境保全を意識して活動している皆さんはもちろんのこと一般の消費者の皆さんも、「主語」を持って日本のコメを食べて欲しいものです。
 「日本のコメは、私が食べ続ける」シッカリ 田んぼを守っていいものを作って・・・。
  そんな人が、一人でも多くなる事を祈りつつ、来年も田んぼに通います。


NO,108 田んぼ通信 平成15・9・16

 テレビ等の報道で、皆様もご存知でしょう。10年ぶりの冷害が決定的になりました。
 皆様も、今年のおコメはどうなるの。とご心配なさっていることでしょう。
 ご安心下さい! 
 私たちは、コメ作りのプロです。過去の経験を生かし最小限の被害で冷害を乗り切ることができそうです。皆様にお届けするおコメは、確保できました。
 今まで通りの、お約束でこれからの一年間、おコメを届けさせていただきます。
 業界紙の農業共済新聞から、コラム欄に今年の冷害について、現場の声を書いてくれと依頼を受けましたので、それをご紹介します。

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 私は、コメ作りを始めて30年になろうとしています。
 この間、鮮明に記憶に残っている 冷害は2回ほどあります。
 1988年と1993年です。特に、88年の冷害はいもち病が激発した年でした。
 冷害は、多くの教訓を残してくれます。
 特に、今年の冷害で明らかになった事があります。
 ひとつは、「いもち病による被害は、天災ではなく明らかに人災だ」
 二つめは、「現代の農業近代化技術(品種改良等)を駆使すれば、冷害は克服できる」ということです。今回は、過去2回の冷害と違って、田んぼによって被害の程度に大きな差が出ました。収穫皆無の田んぼから、ほぼ平年作を期待できそうな田んぼまで様々です。
 私は10年前より、生産する全てのコメを、私の責任と判断で販売しています。
 毎年、私の作ったおコメを、楽しみに待っている大勢のお客様がいます。この多くのお客様に支えられ、私の経営がなりたっています。コメ作りのプロとして「今年は天気が悪かったので、おコメが出来ませんでした」と簡単にいえる状況ではなくなりました。
 私は、前回の冷害以来、常に深水管理ができるように春先から畦を高くする作業を実施し、肥料もどんな気候でも、無理なく肥効が安定する良質の有機質主体の肥料に変えてきました。この成果もあって、お客様に対して「冷害が心配されますが、最小限の被害ですので、ご安心下さい」というメッセージを送ることができました。
 宮城に代表される太平洋岸地域は、常に冷害を前提としたイネ作りが求められています。
 今回の冷害の教訓を、メーカーとしての自覚を持って対策を講ずるか、旧食管法時代の意識のままで対策するか。 コメ生産者のみならず行政・農業関係者の意識が何処にあるかで、これからの稲作経営におおきな違いが出ると考えます。
(以上)
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 こんな一文を書きましたが、結構 勇気がいりました。10年前ですと、全ては天災だ!国で何とかしてくれ!とそれこそハチマキ姿で、冷害危機突破大会なるものを早々と企画していたはずです。   時代は大きく変わりました。
 ところで、気になることがあります。農水省は「在庫は十分あり、供給に支障はない」と強調していますが、問題は、その在庫の中身です。政府米が140万トンあると言われていますが、そのうち106万トンは99年に以前に生産された古米の「古」がたくさんつくコメだそうです。しかも、96年・97年産米の50万トンは、販売凍結を真剣に検討していた米とか・・・。今年のお米は、大切に大切に 食べてください。
 稲刈りは、平年より10日ほど遅れて お彼岸過ぎにはじまる予定です。
 今年の お米は、どんなコメに仕上がっているのでしょうか。
 楽しみに、待っていて下さい。


NO,107 田んぼ通信 平成15・8・15

 今朝も、雨が降ってます。 軒下の温度計は 気温 19度を指しています。
 夜は、布団がないと 寒くて眠れませんでした。  お盆だ というのに・・・・。
季節は、いつの間にか 「暑中見舞い」から 「残暑見舞いへ」。 今年は、夏の挨拶をしないうちに 夏が終わってしまいそうです。 7月の平均気温が、18.4度だったとか。
 過去最悪の 寒い7月でした。しかも、日照時間も 記録的な少なさ。天気予報では、梅雨明け後は、太平洋高気圧が張り出し猛暑がやってくると騒いだものの、8月2日午後に 東北地方南部の梅雨明け宣言が出たのも束の間 夏の太陽は戻ってきません。
 今朝の地元紙 河北新報には こんな見出しの記事が載ってました。 
 街は"閑傘" 秋雨しっとり 仙台中心部
 お盆に入った14日、仙台市中心部は行き交う人も車も少なく、静かな朝を迎えた。活発化している秋雨前線の影響で弱い雨が降り続き、にぎわいの消えた街をしっとりと湿らせた。
 宮城県地方は冷たい雨で気温が上がらず、仙台の正午の気温は19.0度。平年の最高気温に比べ9.0度も低く、5月の上旬から中旬にかけてか、秋本番の10月中旬並みの涼しさだった。
 
 田んぼのイネは、例年より10日以上遅れて 殆どの田んぼで穂が出揃いました。7月の幼穂が出来る大切な時期も記録的な低温。しかも、稲の花が咲く大切な時期も肌寒さを感じるほどの気候。 
 そもそも、イネは亜熱帯気候でよく育つ作物。 農業近代化による農業技術の発達で、寒い東北地方でも栽培できるようになりました。特に、育種技術の向上は目ざましく現在栽培されている「ひとめぼれ」「まなむすめ」は、現在 東北地方で栽培されているイネの中では、もっとも耐冷性が強く「極強」とされています。いずれの品種も宮城県の古川農業試験場で育種されたものです。今年7月の記録的な低温の最中でもその実力に期待し、深水管理等で最小限の被害で食い止めようと必死の努力をしてきたのですが、お盆でもこの寒さです。
 残暑に期待していたのですが・・・。 
 イネの穂が出る時は、赤ちゃんが生まれるようなものです。毎年この時期がくると、暖かく、しかも穏やかな天気を期待し、出穂・開花することを祈っているのです。
 ふつう稲の花は、午前9時ごろから11時頃にかけて 盛んに花が咲きます。
花が咲き受粉してから完全に受精が完了するのに5〜6時間の時間が必要だと言われています。つまり、午前中に花が咲き 夏の陽が西に斜くころイネの受精作業は完了するのです。
 自然は、なかなか上手く出来ています。この受精作業でも、気温が大切になってくるのです。
 最適温度は、30度〜35度だと言われていますが、最低でも20度以上の温度が必要です。
 早く出穂した「ひとめぼれ」の田んぼは、少しずつ頭を垂れてきました。従来の品種では、今年の低温では、完全に不稔モミの大量発生でした。田んぼの水管理によってバラツキがありそうですが、さすがに「ひとめぼれ」「まなむすめ」です。幸い怖い、いもち病などの病気は発生していません。 残暑が 欲しい!!


NO,106 田んぼ通信 平成15・7・14

 今朝も霧雨が降っています。
入梅してから6月中は、カラ梅雨かと思うほど雨は降りませんでしたが、7月に入り雨の日が多くなりました。ここ2日程晴れたものの数日前は、コタツに火を入れる程の肌寒い日が続きました。
 先日の新聞に、今年のような梅雨が本来の梅雨の天気なのだ。という記事がありましたが早く梅雨が明けてほしいものです。
ここにきて、少し気掛かりなことは、梅雨明けが8月にずれ込む可能性が高くなったと言う予報が出たことです。
 田んぼの稲は、イネの穂が確認できるようになりました。節間が伸び始め幼穂が1、5センチ程に育ってきました。幼穂形成期と呼ばれる稲の一生の中で一番低温に弱い時期にさしかかりました。これか、今月20日前後には、花粉ができる減数分裂期という最も大切な時期を迎えようとしています。
 大切なことは、気温です。20度の気温を目安に田んぼの水管理をするのですが、冷害対策の基本技術 前歴深水管理が忘れられています。たとえ、この時期に低温がやってきても、前歴深水管理といって、低温が来た時だけ深水管理をするのではなく、これからの二週間、幼穂形成期から減数分裂期にかけて10センチ以上の深水管理をすることにより冷害を相当回避できます。このことは、試験研究機関のデータ−で明らかになっていますが この基本時術が忘れられています。
 H5年の大冷害。あれから10年。 国産米が不足して大騒ぎした記憶は、すっかり過去のものになってしまいました。 コメに対する国民の関心も年々 薄れてきています。
過去の東北地方における冷害の歴史をみると10年に一度の頻度で冷害に見舞われています。
 天気は、人の力ではどうにもなりませんが未然に災害を最小限に防ぐことは可能なはずです。それが、国を挙げて取り組んできた稲作技術開発の歴史であったはずです。立派な試験研究の成果があっても、それが活用されないのであれば農業関係機関及び農業者の人災と言うべき問題でしょう。
 ところで、先月、東大農学部ドクターコースに在籍中の知人がヒョッコリ 遊びに寄って行きました。
 彼女は、日本の農政に関しての調査研究を志しているようですが、雑談の中でたいへん興味ある話をしていきました。
 戦後のコメ政策の中で、政策転換が必要な時に確実に実行していれば、これほどまでの担い手不足はおきなかったのでは、と悔やまれる節目が何回かあったと言うのです。調べていて気付いたことは、不思議なことにその節目の年と、コメの不作の年が重なると言うのです。 そのことが、直接の原因とは言えないだろうが、思い切ったコメ政策転換が実行出来なかったことの原因のひとつといえるのではないか・・・・・。
 そういえば、今年から、来年にかけて日本のコメ政策が大きく変わろうとしています。
「災害は、忘れたときにやってくる。」  「備えあれば 憂いなし」
 当然、冷害になって困るのは私たち稲作農家です。天気が回復して、早く梅雨明け宣言がでることを祈っています。 
 秋に美味しいおコメを届けるためにも、そして、今年も美味しいおコメだね!と喜んでいただく顔を見るためにも気を引き締めて田んぼの管理をします。


NO,105 田んぼ通信 平成15・6・14

 宮城県も12日 梅雨入りしました。  季節は、麦秋。麦刈りの真っ最中です。今年も11日から刈り取り作業を始めました。当日、地元のNHK記者が、ローカルニュースの取材にやってきました。
ニュースと云いますと、事件事故など索漠とした話題が多くなります。
田植や麦刈り作業が、なぜ ニュースになるのと思います。
春3月になれば種蒔き準備、5月になれば田植、そして6月 「麦秋」麦刈りです。

 百姓にとっては、毎年同じ事の繰り返しです。ところが、ニュースを伝える立場から見れば、季節感を伝える話題も大切だそうです。
そういえば、「麦秋」この言葉も死語になりそうだったのですが、コメの生産調整による麦作の復活で「バクシュウ」という言葉も蘇りました。
友人の奥さんは、県外から嫁いで角田に来たのですが それまでは「麦秋」という言葉すらも知らなかったそうです。
日本人は四季の巡り合わせの中で暮らし、その日々の生活のリズムと共に言葉も生まれてきたのでしょう。季節を感じなくなった時、言葉そのものも失うことになるのかもしれません。
さて今年も雨のシーズン到来です。昨日などは、湿度が高く蒸し暑い一日でした。
麦刈り作業は、お天気次第。日本の麦の収穫時期は入梅と重なります。麦は、収穫直前に雨に当たると極端に品質が落ちます。
日本の麦作が難しいと言われるのは、収穫時期が丁度 入梅時期と重なるからです。
したがって、麦刈り作業はお天道様次第。毎日 お天道様とニラメッコ。ハラハラドキドキ。 毎年 毎日 農作業はドラマ。しかも、毎年 麦の品質検査が厳しくなってきました。
 国内産の麦はもう作るな!と云わんばかりの検査基準の強化です。
蒸し暑い中、埃と汗まみれになってコンバイン作業をしていると、つい 溜息 の一つも出てきます。
ところで、国内農産物の自給率向上が盛んに叫ばれています。
スローフード・地産地消という言葉が盛んに聞かれるようになりました。しかし現実には、コメの生産調整で「麦秋」という言葉が蘇ったといっても、その生産量は国内麦消費量のほんの僅かです。国内で消費される麦は、殆んど外国産麦です。その麦作でさえ今年から 生産調整です。
需要と供給のミスマッチとか。確かに、品質 価格で外国産麦とは競争になりません。麦の収穫後に直に大豆を蒔きます。その大豆も同じような状況です。麦と違って国内産大豆は、品質はいいものの価格的に外国産とは競争になりません。毎年、急激に買い入れ価格は下がっています。
先日、会議後の懇親会で女性中堅農業指導員と会話する機会がありました。農産物価格の問題が話題になり「誰がコメや農産物の価格を安くしろと言ってるんでしょうね。私なんかは、一言も云った覚えはありません。聞いた事もありません」と彼女はいいましたね。
誰が日本の農業を悪くしたと言わんばかりでした。
それでは、自分で食べるおコメはどこで買うの、と聞きましたところ。スーパーで買っているとのこと。
値段は? 
同じ宮城産だったら安いほうのコメ買ってます。これ当然でしょう。
それは、財布を預かっている主婦の立場からいえば、「当然」という言葉がでるもの当然かもしれないが・・・。
現在のスーパーの特売価格では、安すぎるよね。これでは、日本の百姓は暮らしていけないよね。 どうすればいいんですか先生さん、と訊ねたところ。職場に帰ったらもう一度考えてみます。という答えでした。    職場でなくて家庭の中で考えて欲しいんだよね。
お互い、ホンネのところでの 議論がまだまだ足りない事を痛感。
職場で、格好付けての農業指導そんな時代は、終わりにしましょう。
自分自身の生活から出た農業・食糧問題の御指導を切に期待するんですがね。
お互いもっともっと 勉強しましょうよ。そうでないと、普及センターなんぞは、イラナイ!!
という声が益々 大きくなりますよね。先生様・・・。
新型肺炎 サーズの問題で国際貿易のあり方が問題になりそうですが、それでは ポスト中国農産物といえば。 ある商社の答えは、 中国 。と先日の新聞の載っていました。これも、まんざら・・・。
田んぼの稲は、田植後5月下旬にかけて一時気温の低い日がありましたが順調に生育しています。これから、来月中旬にかけて イネ作りで大切な穂作りの時期を迎えます。
今年の米作りも半分が経ちます。秋には美味しいおコメを、届けるために田んぼに気合を入れて通います。


NO,104 田んぼ通信 平成15・5・14

 今年も、お陰様で無事に田植が終りました。百姓はじめて、30年。田植え期間中毎日が田植日和。こんな、田植は初めてです。(年々 暖かかくなっているのを感じます。)
「田植は、風もなく暖かい日を選んで実施しましょう!」これは、指導機関ならずとも誰しもが思うことです。しかし、田植期間が10日にも及ぶとなると話は別です。最高の田植日和だけを選んでいたのでは、いつまでたっても田植作業は、終りません。
それに、イネは生き物。
苗の生育に応じて、田植の適期というものがあります。人の都合でいつでも、田植作業が出来るというわけにはいかないのです。今は、機械化時代。田植作業も高速時代です。最新型の機械は、一反歩(10a・300坪) 10数分で終ってしまいます。その機械に合わせて育苗そのものが、昔とは大きく様変わりしました。
手植え時代は、田んぼの隅に苗代をつくり、イネの本葉が5枚まで育てた苗を田植していました。現在は、30cm×60cm・高さ3cmの大きさの育苗箱で苗を育てます。一箱に蒔く種の量によって、苗の育てる大きさ・育苗期間が違います。一箱の播種量によって、育苗期間が決まります。一般的には、稚苗といって一箱に約180g程度の種籾を蒔き、約20日から25日の期間をかけ本葉2枚半に育てた苗を機械で田植します。30cm×60cmの広さに180gの種籾を蒔くという事は、昔の手植え時代(成苗)からすれば極端な厚蒔きといえます。稚苗用(180g蒔き)に育てた苗は、2枚半から3枚までに田植をしないと混み合って極端に苗の質が悪くなります。そこで、多少お天道様のご機嫌が悪くても、田植をしなければなりません。そのためにも、天候にも負けない丈夫な苗を育てる事が大切になるのです。この育苗技術が開発されたからこそ、急速に田植機械の開発が進み、田植の重労働から開放されたといえます。
昔から田植作業は 「猫の手も借りたいくらい」 と言われるくらいの忙しさが続きます。機械化された現在でも、これは同じです。田植作業そのものは、機械であっという間に終ってしまいますが、機械を効率的に動かすには多くの人手が必要です。ハウスから苗運ぶ人、苗に薬剤を散布する人、機械に苗をセットする人、育苗箱を洗う人 等多くの人手があればあるほど 作業はハカドリます。ゴールデンウイークは、百姓にとっても有難し。
昔の田植は、5月末から6月の入梅時期だったとか。現在は、4月末から5月初めにかけてのゴールデンウイーク。 関係機関がいくら声を大にして 遅植えを叫んでも年々田植は早まるばかり。
農業関係機関が悪いのか?百姓が悪いのか?それとも・・?
ただ一つ、ハッキリしている事は、時代のニーズにあった経済行為として百姓はイネ作りをしているということです。遊びでコメヅクリしているわけではありません。しかも、農家経営としてトータル的に稲作をしている訳です。農業技術も時代のニーズに合わせて開発されるもの。農業関係機関が遅植えを奨励していますが、それなりの根拠があるのでしょうが、農家経営としてのトータル的視点として現実の社会に合わないのでしょう。机上論で、給料もらえるのは・・。
農業技術開発の世界にも、経営的視点が益々 必要な時代だといえます。
遅植えは、コメが旨い。冗談じゃない、コメの旨さはそんな単純なものではないでしょう。
農業技術と農政は、常に連携して進まないと現場は動きませんね。
現場は、正直です。シタタカニ時代のニーズにあった、米作りの為に今年も励んでいるのです。
ところで、我が家では減反した田んぼに大麦と大豆を栽培しています。
戦後 日本の麦は、MSA小麦協定にも象徴されるアメリカによる国家戦略によって、国内産麦は安楽死の道をたどってきたといえます。しかし、昭和45年以来のコメの減反政策によって奨励されたこともあって懐かしい麦秋の風景が各地で見られるようになりました。
今では、稲作農家の重要な収入源となっています。ところが、国産麦は外国産麦と比較すると値段が、5倍以上。減反政策で国産麦の生産を奨励しているものの、需要と供給のミスマッチ。
国産品が欲しいという一部の声があるものの、価格には勝てません。国産の麦作りは、止めろと言わんばかりの 検査基準の強化。
品質検査基準が年々 厳しくなっています。病気に罹った麦は、一粒でも入っていたらアウト。
社会情勢をいくら評論しても農家経済は誰も責任を取ってはくれません。
自分でやるべきことは、最善の策をするだけです。
そこで、今朝 早朝 オヤジさんと連れ立って麦畑の消毒作業をしてきました。

消毒作業をやりながら、農薬についてかんがえました。
               農薬は、誰の為にあるのか?
今朝の、私の結論。
「農薬は、一般国民・消費者の皆様の為にある。決して農家の為にあるのではない。」・・・でした。
農薬の人体への影響がとかく、問題にされます。
 国の使用基準に従った農薬使用であれば、消費者の皆さんへの影響は医薬品の比ではないでしょう。それぐらいは、国は責任をもって基準を定めていると信じています。
むしろ、問題なのは農薬を散布する私たち農業者への人体への影響のほうがハルカニ心配なはずです。農薬のおかげで、生産性が向上して農家の所得が増えた。農家にも恩恵があった。
そうですかね、農薬の開発によって農業生産が向上・安定したぶん農産物の価格も低めに安定したんじゃないですか。
明らかに消費者の皆さんが農薬の恩恵を確実に受けたと思えてなりません。
防毒マスクを身にまとい農薬の臭いを体に感じ、自らの体を張っての農薬散布作業は、農家もしたくないです。
「少々の病気に罹った農産物でも我慢するから、農薬は使わないで。手間がかかった分価格が高くても食べます。そんな、消費者の皆さんが多くなると生産現場はホントに有難いのですが。今すぐ農薬使用は止めます。
農薬なんか 使いたくない〜〜〜。


NO,103 田んぼ通信 平成15・4・15

桜は、今が満開です。東北みやぎにも本格的な春がやって来ました。
昨年は、3月末には桜が咲き出したので遅いように感じるのですが今年が平年並とか。
昨日、最後の種蒔きをし、育苗器にセットしました。3月末に種蒔きした苗は、順調に生育しています。ハウスの中では、2枚目の本葉が出て、緑のジユーウタンを敷きつめたようです。朝、起きると先ずハウスにいきます。毎年の事ですが、「おはよう」と声をかけます。
苗の葉先には、丸い水滴がついき朝日に輝く様は、無数の宝石を眺めている感じがします。
苗の体の中には、つねに根から葉先へと水が流れており、この流れと共に水に溶けている養分も細胞に届けられると言われています。人間の血液の流れと似た働きをしています。
この水滴が付いている事は、苗が順調に育っている証拠です。
ハウスの管理は、温度と水の管理作業があります。これが、結構たいへんです。これから、田植するまで毎日きめ細かな管理が求められます。特に、水管理がたいへんです。水やりが苗の出来を大きく左右します。大変な労力と神経を使います。
しかし、近年は「プール育苗」といってハウスの中にビニール敷き、プールを作り水を溜めて育苗する技術を導入してから大変楽になりました。最初の1年は、ハウスを平らにする事が大変ですが、それさい出来れば毎日の育苗管理が殆んどいらなくなります。その上、いい苗が楽に出来ます。宮城県には、優秀な農業技術者がいます。この技術を開発した宮城県職員・藤井総括専門技術員です。藤井専技は、兼業農家のために開発したといってますが大規模農家こそ、その恩恵がありそうな技術といえます。これから、いろんな応用が出来そうな面白い技術です。
ところで、今年は統一地方選挙の年。私の親友も2月中旬、宮城県議選に突然の出馬決意。
それ以来、参謀役として13日の投票日まで選挙・選挙の毎日。
結果は、見事当選!宮城県議会の自民党会派会長・3期務めた現職県議を相手の大勝負。勝ってしまいました。誰しもが勝つとは思っていなかった選挙選でした。
教訓、人を甘くみてはいけませんね。皆一生懸命生きているんですから。
我が陣営の参謀は、全員専業農家。春先の農作業の大切な時期。最初に話を貰い二つ返事をしたものの、農作業との両立。あとで考えてこれは、大変と思った時すでに遅し。
超多忙の毎日でしたが、皆よく頑張りました。選挙選は、総合イベント。プロデューサー役が大切。考えてみれば、農業もいろんな情報、技術、そして人を駆使して行うトータルプロデュース事業。専業家として自立している仲間は、選挙選は得意。心意気さえ共感できれば、即OK。即行動開始。一流のプロデューサーが、揃ってます。問題は、選挙の時期。
百姓仕事をしながら,しかも農繁期の選挙は最大の敵。農閑期の1月か2月にやって欲しい。
これは、本音。それにしても、筋書き通りでした。良かった、良かった、これも本音です。
さて、これからは本来の百姓に戻りますか。仕事が、山ほど残ってしまいました。


NO,102 田んぼ通信 平成15・3・13

 アッと云う間に、3月も半ばになってしまいました。
 ここ、数日は真冬のような寒さが続いています。3月も半ばというのに・・・。三寒四温といって、寒い日が3日ぐらい続くと、そのあと4日間ぐらいは暖かい日が続いて、次第に本格的な春がやってくるのですが、今年は変です。毎日が「寒」といったところです。今朝などは、種籾を消毒した桶に1センチ程の氷が張りました。この時期、薄氷は張るのですが本格的な氷が張るのは珍しい事です。ここ一週間は毎日 雪がちらついています。しかも、先日は春の嵐。せっかく乾き始めた田んぼは、代掻きできるほどに水が溜まりました。これで、暫らくは田んぼに入れません。田んぼの小切り作業(代掻きがしやすくなるようにトラクターで耕うん細土をする)や、畦塗り作業など春作業がたくさんあるのですが、田んぼが乾かないと出来ません。
 さて、お天道様のご機嫌とは、関係なく稲の育苗準備が始まりました。育苗作業は、毎年 暦を見ながら始まります。2月半ばから、育苗に使う床土の砕土作業がはじまります。これは、床土を5ミリ前後の粒子に砕き揃える作業です。粉のように細かく砕いた床土は、苗の育ちはよくありません。植物の根が良く育つには、適当な水分(栄養)と酸素が必要です。水分と酸素は、相反する要素です。良い床土は、この相反する要素を同時に満たす環境を備えているのです。その環境を作り出す基本が、5ミリ前後の粒の状態に床土を砕く作業が大きなポイントになります。この粒の状態の土を、団粒構造といいます。それに、クン炭等を混ぜて更に良い環境になるように床土を仕上げるのです。
 また、3月はじめには種籾の準備作業が始まります。今年の稲作の為に、準備しておいた種籾を充実した種籾に揃える作業をします。塩水選と呼ばれる作業です。比重1.13の塩水を作りその比重を利用して病気に罹った籾や実りの悪い籾を選別します。これも、おいしい米作りをするためには、欠かせない作業です。この作業もすでに数日前に終りました。これから、床土にクン炭や肥料を混ぜる床土の仕上げ作業、や育苗ハウスのビニール張り等の準備作業が次々に待っています。そして、来月早々には種蒔き作業が始まるのです。
 ところで、今日から3日間の予定でNHKのロケがやってきます。「日本とことん見聞録」という小学校5年生社会科番組の撮影の為に我が家に来る事になりました。「おいしい米作り」というタイトルで、鹿児島県の東馬場さん宅と我が家を取材することになりました。10日から12日まで鹿児島でのロケ、今日から宮城でのロケということです。番組では、我が家のおいしいコメ作りの為に、工夫している事を紹介して欲しいとのことです。特に、土作りについて話そうと思っています。目新しい米作りの話をするつもりはありません。大先輩達が築き上げてきた、普通の稲作技術を紹介できればと考えています。土作りは、すべての作物を育てる上で最も基本となることです。稲作に限らず、物事の基本をシッカリとやり遂げることの大切さを、自分なりの言葉で表現できれば良いなと考えています。
 放送予定は、H15年4月7日(月)11:45〜12:00(NHK教育テレビ)です。


NO,101 田んぼ通信 平成15・2・13

 立春も過ぎ、朝夕はまだまだ厳しい寒さが続きますが、日差しは確実に明るさを増しています。冬至の頃は、夕方4時を過ぎると薄暗くなったももの5時を過ぎてもまだ明るさが残るようになりました。
 今年も春がやって来ました。
 日中の気温が10度を越える日などは、田んぼから春の香りを感じます
 。本格的な春の訪れと共に田んぼの仕事も、一気に忙しくなります。例年、本格的な春が来る前の、この時期を利用して、セミナーを開催しています。
 昨晩は、農水省から担当職員に来ていただき「こうなる米政策」と題して2回目のセミナーを開催しました。
 コメ改革をめぐる情勢を、おコメを食べていただいている皆様に少しご紹介しましょう。
 昨年の12月、農水省は「米政策改革大綱」を発表しました。
 米政策改革大綱序文の最後に、「国民的な観点に立って、次のとおり、水田農業政策・米政策の大転換を図る。」とあります。昨年末以来、生産現場ではマスコミ等を通じて知らされる情報を基に、いろんな憶測が飛び交っております。
 そこで、直接政策担当者に来ていただき話を聞こうと言う事になったわけです。
 2時間30分余りの勉強会でした。正直な感想は「ああ〜〜まだ今回も、巨額な農林予算がチマタにばら撒かれる。日本の米作りの安楽死を願うだけの政策が繰り返される。今回の改革過程はソフトランディングとか。言い換えれば、当り障りのない成り行きまかせ、誰も責任を取らない従来の農政手法と何ら変わらない。なんだこれは!!!。」
 大綱によれば、8年後、H22年の日本のあるべき姿をこのように描いています。「そのような姿の下では、効率的かつ安定的な経営体が、市場を通して需要動向を敏感に感じとり、売れる米づくりを行うことが基本となる。」とあります。実に立派な目標です。
 従来の農政からすれば、格段の進歩でしょう。正に、農政の大転換です、評価できます。
 しかしながら、いただいた参考資料「各関連施策の具体的内容・農水省案」を眺めてがく然。
 基本的な農政手法が、従来と全く同じ。これで、「効率的かつ安定的な経営体」が8年間で育つんですかね。世の中の経済システムは、急速に変わってます。しかも、日本国内はデフレ不況。こんなことでは、8年後「効率的かつ安定的な経営体・・・」どころか、5年を待たずに「先進経営体」をめざした農業者から真っ先に潰れていくでしょう。
 今回の新しい補助金対象施策に、「産地づくり推進交付金」なるものがあります。この中身を読めば読むほど不安が募ります。この交付金の趣旨に「地域の実情に応じ、地域自らが・・・・。」というくだりがあります。また、その手順に、(ア)「市町村、農協等で構成する、地域農業推進協議会は、マスタープランを作成・・・・」。(イ)「農業者は、その協議会が決めたマスタープランに基づいて、営農計画・・・。」
 ここで、なにが問題かであります(私見)。
 2点あります。先ず、一点目。
 誰が、実際に米づくりをするのかという視点の欠落です。相変わらず、「地域」「市町村」「農協」が米づくりをやるという前提で展開しようとしています。8年後のあるべき姿「市場の動向を敏感に感じとり、売れる米づくり・・。」とあります。「地域」「市町村」「農協」いずれも責任の所在・責任をとる主語がないところですよね。
 いずれも、市場の動向に関係なく安定した給料もらえますよね。市場の動向を最も敏感に感じているはずの、「農業経営者」をマスタープラン作りに参加させない。従来の農政手法と何ら変わらない。思い浮かぶ事は、またまた無責任な補助金バラマキ。大義名分だけを掲げ、マスタープランに責任を取らない。結果は、明らかでしょう。
 「地域」「市町村」「農協」の前に、一番先に「農業経営者」を明記すべきでしょう。安定した食糧生産のためには、生産現場を担う「農業経営者」の育成と、そのための条件整備の施策を全面に掲げることが必要です。その観点が残念ながら感じられないのです。
 8年後のあるべき姿に謳っているはずです。「効率的かつ安定的な経営体が、・・・。」・・・・・と。
 2点目、国は今回の大綱実現の為に、生産者(JA)や地域の自主的な話し合いによる自主性を尊重しようとしています。聞こえは、いいのですがこれが大きな問題です。
 つい最近まで、農業者に「ぶら下がりの構図を良し」とする政策を、唱えてきたんですよ。恥ずかしながら、民主的な話し合いの手法を経験した事のない組織(JA/集落等)にいきなり自分で考えろ、はないでしょう。
 国の責任として、あるべき姿が達成されるまでのは、そのためのガイドラインをこれまで以上に厳格に示すべきでしょう。これまでの、農政はかけ声だけはかけるものの、この点が大きく欠落していた為に市町村等の生産現場に近いほど、勝手に都合の良いように農政を解釈し結果的にどうでも良い農政が延々と続いてきたといえます。このままでは、これまで以上に「村の論理がはびこる」ように思えてなりません。恐ろしい事です。
 というような事を、考えさせられたセミナーでした。農政が本当に、あてにならない時は、選択肢のなかのもう一つの大きな柱。生産調整に参加しない。独自に生きる道を探す。
 これも、ありでしょう。な〜〜んて本気で考えちゃいますよね。ところで、3月の決着を目指し現在WTO貿易交渉の最中です。この結果いかんでは、私たち専業農家が真っ先に吹っ飛ぶ事になるでしょう。メリハリのついた国内対策を望むだけです。
 
 さて、今年も筒粥(つつがゆ)目録が届きました。さてさて、今年の占いは、麦七分・豆六分・早生七分・中生六分・晩生・八分。ことしは、数年ぶりに晩生の品種が豊作予報です。ササニシキ等の中生が不作の予報です。結果は、どうなる事やら。神頼みの前に、やるべき事はシッカリやりましょう。


NO,100 田んぼ通信 平成15・1・13

     新年おめでとうございます。
 お蔭様で、田んぼ通信100号の記念すべき発行を迎えることが出来ました。
平成6年10月。埼玉県浦和・見沼田んぼ福祉農園代表・猪瀬良一さんの声掛けにより始まった米の産直活動。それ以来、10年間に亘り発足当時と変わらぬご支持とご支援をいただいております、さいたま市の福祉グループ 「ぺんぎん村」様、新座市の「よろづや」様、春日部市の わらじの会「ぶあく」様、桶川市の片岡様、北村様、藤田様、尾見様、さいたま市 自然食品店「風土舎」様の皆様には、本当にお世話になりました。
 ありがとうございました。グローバル地域研究所角田ファームスタッフ一同心から感謝を申し上げます。 これからも、どうぞ宜しくお願いします。
 毎月 15日。埼玉の皆様にお米を発送する日です。当初、筆不精の私がこれほど永く続けられるとは、思っておりませんでした。毎日食べていただいているおコメを欠かさずにお届けしたい。米の発送と同時に角田の百姓の心意気もお届けしたい。そんな、思いで始まった「みやぎ角田発・田んぼ通信」。たったレポート用紙一枚のお便り。月一回。早い事、早い事、アッと言う間の100号でした。農繁期の超多忙の時でも欠かさず発行できたのは、皆様のご支援があればこそと感謝しております。
 平成5年は、凶作の年でした。皆さん覚えていますか?国産米がなくなり国産米を求めて店頭に行列をなした光景。それを契機に、その年の12月に米の市場開放が決定。平成7年には、旧食管法が改正され現在の新食糧法施行。昨年、12月には米政策改革大綱の発表。
 この間、日本の米を取りまく環境は、確実に社会主義経済から市場原理による資本主義経済システムへ大きく変わろうとしております。このことに関しては、多くのご意見があることも確かです。私は、日本の稲作農業が健全に発展する為には、いつか必ず通らなければならない道だと信じております。
 今朝の朝日新聞に「日本からコメづくりが消える」。という記事がありました。WTO農業交渉をめぐり、こんな声が聞こえだした。というのです。現在、日本のコメは事実上輸入を遮断する高関税を維持しています。具体的には、実質300%を超す関税をかけてます。それが、今回の交渉で米国等が関税率を大幅に引き下げる主張を崩さないというのです。この問題に関しては、暴論だとお叱りを受けるかも知れませんが、この際あえて、生産者(生産者団体)は口を出すべきではない、と思っています。農協はじめ農業関係者が、大声を出せば出すほど、「生産者を保護するための言い訳」ととられる。この構図を打ち破らなければ、日本農業は良くならないと思うからです。
 これまでの農協を中心とする政治家マル抱えのコメ政策の弊害が余りにも大きすぎます。農協・農水省は、食の安全保障や水田の「国土保全など多面的な役割」の観点を掲げ国内農業の必要性を訴えてきました。しかし、従来の農協主導による米価闘争に象徴される様に、国民の世論を喚起する手段をとらず全てが政治決着と称して、一般国民の知らざる所で処理しすぎてきました。そのことが、日本国民の多くが、毎日食べているコメに関して驚くほど無関心になった原因の一つに思えてなりません。
 国土保全や国民の基本的食糧確保は、政治の大きな役割です。そのシステムを実現する為に、政治家が存在するはずです。全国の百姓を東京に集めて、政治屋さんが壇上に陣取り百姓がお願いする構図を確認しないと、農業・食糧問題を話できない。そんなの政治家のやることでありませんよね。
 「田んぼ通信NO100号」を記念して、私たちは宣言します。
「私たちが作った、おコメを食べたい。そして、秋。収穫の喜びを分かち合える人の為に、これからも一生懸命コメ作りを続けます。」
 決して、日本国民の為とか、国土保全の為にコメ作りはしません。ただし、農業という生産活動を続ける行為が、結果として国民の幸せにつながるのであれば、この上ない幸せなことですが。
 ところで、この10年。いろんなことがありましたね。確実にいえる事。お互いに10歳年をとったこと。子供さんも大きくなりましたよね。それでも、毎日 おコメを食べていただける幸せ。本当に有難い事です。
 「今年のおコメは、美味しいよ。」と云われたときの喜び。その感激を味わいたくて、百姓をしているのかもしれません。
 美味しいおコメは、「ひとめぼれ」とか「こしひかり」等、品種によることがありますが、むしろ、土壌条件(粘土質の田んぼは美味しく、砂地や泥炭土壌のコメはマズイ)でその味が大きく左右されます。同じ品種でも作る田んぼによって味は変わってきます。これは、作っている百姓が一番知ってます。
 旨味やコクは良質のミネラル成分が大きく関係していると思われます。肥えた粘土地の田んぼは、たくさんのミネラル分を含んでいます。そこで、育ったコメは、当然ミネラル成分をたっぷり含んでいます。しかも、健康に育つのです。農薬も少なくて済みます。
 私たちのお届けするお米は、美味しいコメが出来る、田んぼ選びから始まるのです。
 その上で、良質な有機質をたっぷり含んだ肥料を使用し、農薬も必要最低限に抑えて栽培しています。私たちのお米は、私たちの想いがたくさん詰っているんです。一緒にお届けします。
 天候に左右されるのが、農業。
 思うように出来ない事が、たくさんありますがそれを、言い訳にするコメ作りはしません。
 今年も、「美味しかったよ!」という言葉を聞くために、真面目に田んぼに通います。
 11日は、「農はじめ」。今年使用する種籾に飾っていた松飾を田んぼに持っていき、鍬で耕し豊作を祈願しました。   いよいよ農作業が始まりました。
 今年も、宜しくお願いします。ホームページも更新 がんばります。是非みて下さい。