NO,183  田んぼ通信 平成21・12・16

 今年も 残すところ半月となりました。 一年があっという間に過ぎていきます。
年々 時間の経つのが早く感じます。 世の中 忙しくなっているのでしょうか。 
今年も お米を通してお世話になりました。 本当にありがとうございました。
今年の12月は、例年以上に暖かな冬を迎えています。しかも、まだ半月が過ぎたばかりというのに 平年の12月雨量の倍以上の雨が降りました。 朝 霜で真白になるのですが、霜も満足に降りません。 暖かな朝が続いています。 暮らしては楽ですが、日々お天気さま相手の仕事をしていますので、来年の稲作が気になるこの頃です。
 このところの暖かさで、10月末に播いた麦は順調に育っています。冬枯れの景色の中に 麦畑の青さがだけが目立っています。  
10日に 来年春 稲の育苗に使う 床土を作業場に運びました。 2トンダンプで8台の田んぼの土です。 床土は、5ミリほどの粒に揃える為 専用の砕土機を使用します。 その際 土が乾いていないと作業が出来ません。 年内中に作業場に運び 乾かす必要があります。  12月の農作業で 欠かすことの出来ない大切な仕事です。 毎年、天気予報を見ながらの仕事です。 無事終わることが出来ました。 これで一安心。 来年の稲作に向けての仕事は確実に進んでいます。
ところで、いま時代が激しく動いている事を実感する毎日です。 
昨日、市内で種苗店を営んでいる友人と話す機会がありました。 彼の話によると、野菜の種の販売量が以前よりも半減したというのです。全国的にも、種苗会社の種子生産量も同じ傾向にあるという。  野菜の生産量が少なくなったハズなのに野菜の価格は上がらない。 今年は、この秋、極端に価格が低迷しています。海外からの輸入物や不況の影響だけではないといます。 この大きな原因は、野菜を食べなくなったからだといいます。  高齢者が多くなり年々 食べる量が少なくなる。 若者といえば そもそも料理する事すら面倒になり、手軽に食べられるもので済ませる。しかも、不況で金を持っていない。 また、農家でさえ、お爺さんやお婆さんが 手塩にかけて栽培した野菜が目の前にありながら、同じ野菜をスーパーから買ってきて調理する。それを見て、お爺さんお婆さん、「折角作っても ワゲイシタズ(若い人たち)に食ってモラエネガラ(もらえないから)作るの止めだ」 この話は、数年前からお茶のみ話して聞いていたことです。それがいよいよ、家で農業を守ってきた老人の皆さんが高齢になり、肉体的にも農作業からリタイヤしている。 この傾向は、野菜栽培ばかりではなく稲作など農業全般に言える事です。 その傾向は、年々 加速度的に顕著に表れる事でしょう。 コメの消費も、落ち込んでいるといいます。コメの在庫圧力から来る販売価格も低迷しています。店頭価格は、生産コストを大きく割り込んだ価格を平然として表示しています。 こんな事、いつまで続くわけはない。とわいえ、来年秋の米価予想は 芳しくありません。 明るい兆しのないまま年の瀬を迎えようとしています。 
 世の中、どのような動きになろうとも、人間様のご都合で仕事の中身を変えることはできません。  来年に向けての農作業は、すでに始まっています。 
 皆様に 喜んで、安心して食べていただける農作物を作り続ける。
農作物は生き物。 命のリズムに合わせて農作業を進める。それが、百姓仕事です。
 良いお年をお迎えください。


NO,182  田んぼ通信 平成21・11・16

 角田の里山は、今が紅葉の盛りです。 今年は、暖かな日が続いています。 11月中旬を迎えたというのに、本格的な霜はまだ降りません。10月末に種まきした麦は、順調に芽が出て麦畑は日毎に緑を濃くしています。
大豆の収穫作業、その直後、同じ畑に大麦の種まき作業と続く二毛作。毎年のこと、寝る暇を惜しんでの農作業が続きます。 農作物は、種まきの適期が決まっています。特に、麦等の秋まきの作物は、一日作業が遅れる毎に収量・品質に大きく影響がでます。  10月末から11月初めにかけて続く農作業は お天気勝負。 毎日 天気予報を睨んでの農作業が続くのです。  農作業そのものは、自分が頑張ればどうにでもなります。しかし、お天気様は どうにもなりません。今年は、天候に恵まれました。 10月19日から大豆の収穫を開始。その後、晴天の日が続き順調に農作業が進み11月初めには全ての作業を終えました。 
心からお天気様に感謝です。 
 さて、今年もJICA研修員が角田にやって来ました。 昨年は、サモア等・大洋州の島国の青年達でした。今年は、中央アジア・コーカサス地方5カ国・ウズベキスタン4名・カザフスタン3名・トルクメニスタン4名・アゼルバイジャン2名・タジキスタン6名 合計19名の青年達です。 11月5日〜18日まで角田に滞在し農政の現場・農業施設等の視察研修をします。 私が世話人代表の「角田市アジアの農民と手をつなぐ会」がJICA(国際協力機構)から事業委託を受け実施しています。研修期間中のプログラム・予算の殆どを任されていますから、たいへんな事業です。 角田滞在中 手をつなぐ会会員が手分けをして研修の世話をします。 会員は 殆どが専業農家や事業主です。それぞれの仕事をやりくりしながら研修が続きます。一人や二人で出来る事業ではありません。 20年来続けてきたタイ・イサーン等との交流事業の積み重ねがあればこそできます。
コーカサス地方といえばヨーグルト。その程度の言葉しか思い浮かびません。まして、中央アジア諸国は、ニュース等で名前だけを聞く程度の国々です。 遠い存在の国々です。
研修二日目。来日した五カ国によるカントリーレポート発表会がありました。 あらためて自分の無知を知りました。それぞれの国は、ソ連邦崩壊後 新しく独立した国々です。 実は、個人的にも今回の研修を楽しみにしていました。 社会主義社会から自由主義社会へ 大変革を経験して いまどんなことを 考えているのか。是非 聞いてみたいと思っていたからです。 研修を通して分かった事は、今回参加した研修員の殆どは、20歳代から30歳前後の青年達。 ソ連邦崩壊前は、幼く良き社会主義時代の経験がないのだという。 時間の経つのは本当に早いもの、すでにソビエト崩壊から20年あまり過ぎるのだと感慨をあらたに。 彼らが知っているソ連邦崩壊前は、経済状態が極度に悪化し、崩壊すべくして内部から崩壊したのだという。 研修員の一人が、ソ連邦が崩壊し たいへん迷惑したが いいこともあるという。それは、それぞれの国が国への思いを自由に語ることができるようになったことだという。 日頃 国家という概念を意識せずに生活している自分にとって、国家の存在ということを考えさせられたカントリーレポート発表会でした。 また、研修員全員が 大海原(太平洋)を見たことがないという。研修の合間を縫って見学に行った太平洋に 裸足で入って大はしゃぎ。 日本の農業の現状も報告したが、水田農業の担い手の平均年齢が65歳だと言ったら 驚いていた事。 中央アジアには、「献上米」という言葉まであるらしく、日本のコメが伝わっているという。これには、ビックリ。遠い国でありながら、日本とは歴史の中で不思議と接点がある国々。 楽しみながらのJICA研修の世話は、続きます。


NO,181  田んぼ通信 平成21・10・15

 今年の稲刈りも 無事に終わりました。また、先日の大型台風18号の被害も殆どなくホッとしているところです。 さて、今年の稲刈りは、日本のコメ作りがおかれている現実を目の当たりにする経験をしました。  皆さん、稲刈をしようと思って 田んぼに行ったら「アッ!! 田んぼに稲がない!!」 実際にそんな経験をしたら どう思いますか。 
収穫作業も終わりに近づいた9月末。 晩稲の「みやこがねもち」の刈り取りを残すだけ。今年のもち米の作付は、1.3ヘクタール。 4か所の田んぼに分かれています。 収穫作業の段取りをするため、早朝、家から1.5キロ程離れた 一番遠くの田んぼに行く。 「あれ、田んぼに稲がない!!」 確かにオライの田んぼ。 きれいに刈り取られている。 一瞬 「俺 いつ刈ったっけ・・・・??」 そんなバカな!! 何回か 田んぼに戻り確認する。 しかし、稲はない。辺りは、ほとんど稲刈りが終わっている。我が家の田んぼ の近くに 数か所だけ残っているだけ。 誰か 間違って刈っていったのだろうか?? それとも・・・????  一瞬いろんな想いが交錯する。 早速 家に帰り家族に報告。  たぶん 間違えて刈っていったのだろう?? それにしても、もち米の田んぼ。 ウルチともち米。 百姓なら稲の姿を見れば一目了然なはず・・・・。  先ずは、村の駐在所さんに相談したらということになる。 その前に もう一度 田んぼを確認してから、という事で再び田んぼへ。    どう見ても 稲がない。
 村の駐在所さんに 相談へ。 パトカーでお巡りさんと 二人で三度 田んぼへ。
あらためて、刈り取った様子をみる。どう見ても あわてて刈り取った様子はない。丁寧な刈り取り作業あとだ。刈り取った藁の感じからすると、一昨日ごろに刈ったようだ。
たぶん 田んぼを間違えたのだろう。それにしても、だれが?? 隣村の田んぼだが、友人もいるので 聞き当ってみようということで お巡りさんと二人で知人宅を訪問。 話の過程で だいたいのメボシがつく。 先ずは、その人に 話を聞くのが早いということで お巡りさんと二人で訪問。 80歳をこえた 老夫婦の家庭のだ。 80を過ぎても なお現役で米作りをしているという。 耕運機にモミコンテナをつけて 2条刈りコンバインで稲刈りをしているというのだ。今どき、自動車でモミを運ぶのが当たり前。 それなのに、耕運機で4キロも離れた田んぼから モミを運んでいる。 それも83歳の御爺さんだ。一昨日、おばあさんと 二人で刈ってきたという。 乾燥機にかけて モミ摺りしたら もち米が出てきたので おかしいと思ったが、自分の田んぼを刈ってきたという。  我が家の二枚隣の 同じ面積の田んぼに まだ稲が残っているので、 一緒に 見てほしい。 ということで またまたパトカーでたんぼへ。お爺さんの田んぼに稲が 残っているのを確認してもらう。
間違って刈り取ったことを、はじめて納得。 
話を聞けば、お婆さんが嫁ぐときに持参金代わりに実家から貰った田んぼだという。  何十年と通った 田んぼ。  人間、思い込んでしまうと、あたりが見えなくなるのだろう。 それにしても、老夫婦二人で 間違うとは。   一件落着。あとは当事者で話しを。
ということで お巡りさんと帰ってくる。お米も 無事に我が家に帰ってきたので 一安心。
それにしても、またまた4キロも離れた田んぼから、耕運機にコンテナつけて 数回運ぶのは、たいへんなことだ。 80歳を過ぎた老人に、またまた 稲刈をさせるのは 忍びない。 間違ったとはいえ、刈ってもらったのだから我が家で刈ってやったら、との妻の優しい言葉。ということで 我が家のコンバインで一気に刈り取りし、籾運搬もお手伝い。 
なんとも、いえない 複雑な想い。80歳を超えたお爺さん達が、今なお 田んぼの担い手として頑張っている。  これが、日本の農業の現実。 
またまた、農政改革が始まろうとしてる。 日本の田んぼに 若者が帰ってくる日が来るのだろうか。


NO,180  田んぼ通信 平成21・9・15

 新米のご報告と 田んぼ通信180号(16年目)をむかえるにあたって

 おかげ様で 今年も無事 新米を収穫することが出来ました。お天道様と常日頃お世話になっている皆様に 心から感謝申し上げます。  11日、天気は快晴。 11年目をむかえる我が家のコンバインの大修理も完了し、試運転を兼ねて稲刈りをはじめました。
 今年の稲作は、田植え以来 天候にも恵まれ順調に出穂期をむかえました。
しかし、8月に入っても 梅雨明け宣言でません。 お盆までの二週間余り、梅雨空が続き日照不足のため、なかなか稲穂が頭を垂れてきません。 幸い気温が高く、病害虫の被害もなく受粉も確認できましたので安心していたものの お米の出来が心配でした。
心配したお天気もお盆過ぎには回復。 実りも順調に進み、無事収穫することが出来ました。 稲刈りの二日後、籾すり作業を開始。 きれいな玄米を見て一安心。 昨年 多くみられた乳白米(白い米粒)がありません。  一年の苦労が一気に報われた思いです。
夕飯に新米を炊き、先ずもって神棚と仏壇にお供えし、家族全員揃って 感謝の思いを込めて手を合わせました。
  炊きあがったピカピカの新米。 噛むほどにホンノリとした甘さが口いっぱいに広がります。 今年も 自信を持って 常にお世話になっている皆様にお届けいたします。
 ところで、先般行われた総選挙で政権交代が実現しました。 農政の流れも激変しそうです。 新しい農政の展開に期待するものの、変革の中身次第ではこれまで以上の困難も 予想されます。 これから先、コメ作りを取り巻く環境がいかに変わろうとも、収穫の喜びを共に感謝し、素直に喜べる世の中であってほしいものです。 
 さて、田んぼ通信は、今回で180号をむかえます。まる15年を過ぎ16年目をむかえました。 埼玉県うらわ市在住の猪瀬さんのご指導をいただきながら始まった、私たちのお米の産直事業。 よくも15年以上にわたり続いたものだと思うとき、感慨深いものがあります。 猪瀬さんや発足当時から お付き合いいただいている埼玉県の福祉グループの皆様に あらためて感謝いたします。 本当に ありがとうございます。 
先月末に産直事業発足当初からお世話になっている埼玉の「よろづや」さんのお客さんで、小さい頃から角田のお米を食べて大きくなったという若者がやって来ました。
 彼は現在、京都大学に学び演奏旅行で東北にやってきたので、毎日食べているお米が育っている田んぼを、是非みせてほしいとうことで訪ねてくれました。数日間 我が家に滞在し農作業を手伝ってくれました。 あらためて15年の歳月を実感したひと時でした。わざわざ来てくれて嬉しかったです。御苦労さまでした。 
 これからも、皆様に喜んでいただけるお米作りに励みます。
 よろしく、お願いします。
角田の田んぼの様子は、ホームページ 田んぼ通信 http://www.omokawa.comで発信しています。 毎日更新することを目標に7年前からお伝えしています。観てください。。


NO,179  田んぼ通信 平成21・8・18

 残暑お見舞い申し上げます。
東北にも ようやく夏がやってきました。  8月14日に約20日ぶりの真夏日を記録。
待ちに待った、夏空です。 空は高く、秋の空ですがそれでも最高気温は30度を超え、出穂期を過ぎても、なかなか頭を垂れなかった稲穂も一斉に曲がってきました。 
今年の東北地方は、2003年以来6年ぶりに梅雨明け発表がないままお盆を迎えました。 今年の稲作は、春先より天候に恵まれ極めて順調に生育してきました。
穂が育つ7月中旬から出穂・開花期の8月初めにかけては、稲の生育にとって最も大切な時期です。 この時期の気温が作柄に大きく影響します。気温の目安は20度。稲穂が芽生えてから極端な低温に遭うことなく7月26日には走り穂を確認。例年よりも早く出穂期を迎えるだろうと思われました。  しかし、なかなか梅雨明けしません。7月下旬から曇り空、雨の日が続き8月8日から3日間は日照時間がゼロ。 幸い気温が高く、心配された病害虫の発生のなく受粉も確認できましたので安心はしていたものの、一向に稲穂が曲がりません。立ったまま10日余り。心配になりましたが、稲は正直です。 お日様が顔を出すと共に、一斉に稲穂が曲がってきました。 当初の予想より収穫時期が少し遅れるものの、9月中旬には、新米をお届け出来そうです。  楽しみにお待ちください。
 ところで、今日は総選挙の告示日。 政権選択の選挙といわれ、その行方が気になります。
稲作専業農家として稲作経営に携わってから35年あまり。私の稲作人生は、米の生産調整農政と共に歩んできました。その減反政策が、今回の総選挙の大きな争点のひとつです。
8月9日付け朝日新聞社説にも、「農業再建・減反見直しからの出発」とい見出しが躍っていました。その中で、「日本農業を衰退へと導いたのは40年間も続く減反政策である。農業の将来を考えるなら一刻も早く減反をやめ、農業を成長産業に変える道に踏み出すべきである」と論じ、減反を巡る自民党と民主党の違いは鮮明だとし、民主党が打ち出した「減反選択性」を評しています。 また、社説の中で「改革志向が明確であるにもかかわらず民主党案の問題点は、所得補償の対象を競争力の乏しい零細農家にまで広げてしまったことだ」と簡単に論じています。しかし、この問題はいま始まったことではありません。
昨今の農政の中でも改革志向を明確にしてきたはずです。 その改革がようやく動き出した矢先の改革論。 
「レイサイ農家?」にまで所得補償を広げざるを得なかった問題点の総括をしないまま、またもや改革だというのです。 この「レイサイ農家?」にまで所得補償。この問題が最大の課題であり生産現場で混乱を招いているおおきな原因なのです。 これを今回も棚上げし、改革を進めようとしています。これでは、今回の総選挙が終わっても農政改革は進まないでしょう。 田んぼの生産現場の現状が分かっているのでしょうか。 戦後の食糧難時代を担ってきた80歳前後の担い手が、未だに担い手として田んぼに立っています。 
危惧するところは、中途半端な農政改革をする度に、多額の税金を投入し担い手が全く育たなかった。しかも、この度の改革のありようでは育てるべき担い手が壊滅的打撃をうけるでしょう。 これまで米の問題は、農業・農村の問題だとしてJA等の農業関係機関や農業者に任せられてきましたが、 これまでの中途半端な減反政策のなかで精神的にも疲弊しきっています。 残念ながら、いまの農村・JA等の農業関係者にその改革の気概と活力がありません。  これからの農業再建問題を考える時、 農業を単なる成長産業として位置づけるのではなく、国民の食料供給産業として位置づけ、都市生活者にとって自らの命に直結する産業問題として捉えること。 そのうえで食料供給産業としての農業の担い手を誰に委ねるのかを、消費者や都市生活者の問題として共に考えて欲しいものです。
命に係わる農業問題に、これからもムダな税金を投入する政治に早く決別したいのです。


NO,178  田んぼ通信 平成21・7・15

 田んぼの稲は、田植え以来の天候に恵まれ順調に育っています。 今月はじめには、幼穂といって穂の赤ちゃんが確認されました。真っ白な産毛のようなものです。現在3センチほどに生長し、はっきりと稲穂の形が分かるまで育ちました。いま、稲の一生のなかで最も大切な時期をむかえています。  例年、頭を悩ますヤマセが吹かないことを祈る日々が続くのですが、今年はその心配はなさそうです。
 今年の稲は、近年になく生育が揃っています。 しかも、幼穂期をむかえ、若竹色に稲色が 変わり、後半の追い込みが効きそうな稲体になりました。これからのお天気次第ですが、秋の収穫が期待できる生育状況です。 ここ数年、作柄があまり良くありませんでしたので、今年こそはと、気合が入る今日この頃です。
 これまでの経験を生かし、最高のおコメに仕上げるべく、日々田んぼに通っています。
昨日から特性の酵母入り有機質肥料の追肥作業をはじめました。 値段は高いのですが、うまい米を育てるには、考えられる事はすべてやるという心構えで田んぼに通っています。 
昨年から、肥料等の農業資材が大幅に値上がりしました。その反面、不況の影響等で米をはじめとする農産物の販売価格は値下がり傾向にあります。 生産コストが上がり、販売価格が低迷。 どう考えても安定した農業生産が出来る環境ではありません。
いま生産現場では、肥料などの生産資材を如何に安い物に切り替えるかが大きな課題になっています。  わたしは、昨今のこの動きには疑問を感じています。 農作物は、生き物です。
しかも、より美味しく、安全で安定した生産が求められる時代です。もちろん、栽培方法等の工夫により無駄な生産資材の使用をなくす努力は必要です。しかし、良質な農産物を育てる為に必要な有機質肥料などの基本的な生産資材は、しっかり投入すべきだと考えます。
生産者としてやるべきものは、最大限努力する。 これが基本です。
 無駄をなくす事は、大切です。しかし、何が無駄かを見極めることは、これまた難しいことです。 「目的」と「手段」を間違えないようにしなければと考えます。
「安い農産物(食べ物)を食べる事が目的で、そのために 生産コストを下げた農産物を生産するために農業が存在する」  これってどう考えても、おかしいです。 
「健康な暮らし(命の糧を得る)を続けるために 安全で美味しい食料(農産物)を食べ
続ける。 そのために必要な農産物(食料)を生産する為に、私達 農業者が田畑で汗を流し農業で暮らし続ける」 そのような農業環境になればいいと考えます。
 勿論、全ての人に食べていただけるには、基本的な食料は、出来るだけ安くなければなりません。しかし、私達農業者の努力だけで、生産コストを下げる事には大きな限界を感じています。 命に係わる最も大切な食料ことです。安全で継続した安定供給システム必要です。 
どんな、システムにしたらいいのか 今 問われているのでしょう。 
 ところで、宮城かくだは、先月10日に梅雨入りして以来、まとまった雨は殆ど降っていません。6月中は小雨がパラツキ、どんより曇った梅雨空が続きました。今年は、久し振りに本格的な梅雨になると予感しました。しかし、曇り空が続いたもののその後、まとまった雨は、降っていません。 7月に入り、梅雨時には珍しい、乾いた西風が数回吹きました。冷害をもたらすヤマセは 東風です。 それとは、全く逆の風が吹きました。 稲にとっては、最高の風です。 また、7月半ばというのに 夕方、ヒグラシが鳴き出しました。ヒグラシが鳴くの は夏盛りから終わりにかけてです。 アブラゼミが鳴く前に ヒグラシが鳴くとは。
気候が 変です。 無事に美味しいお米が収穫できますように。  祈る日々が続きます。。


NO,177  田んぼ通信 平成21・6・15

 収穫前の麦畑。季節は「麦秋」。 快晴の早朝。 西に連なる残雪を頂く蔵王の山々を背景に、大麦畑が小金色に輝き、田んぼや里山の木々の緑、青い空、真っ白な雲。 
 百姓仕事をしながら 最も贅沢で幸せな時間を感じるひと時です。
 田んぼの稲は、田植え後の天候にも恵まれ順調に育っています。 今の時期は、稲の体を作る時期で 盛んに茎の数が増えています。日増しに、田んぼの緑が濃くなってきます。
 さて今月10日、宮城県地方も梅雨入り宣言が出ました。 平年並みの梅雨入りだといいます。 最近は、梅雨入り宣言が出てもカラ梅雨が多く 晴天が続くのですが今年は違うようです。  梅雨入りしてから 曇りの日が続いています。 
 農作業は、大麦の収穫作業が無事に終わり二毛作の大豆の播種作業が始まりました。 今年の大麦収穫作業は、例年よりも早く8日に始まり10日に終わりました。 麦の大敵は、雨です。 日本では、収穫が梅雨の時期に重なります。 収穫時期を迎えた麦は、一雨毎に品質が 悪くなります。 関係機関では、小麦の作付けを奨励していますが、大麦と比べ収穫時期が遅い小麦はその危険は大きくなります。 そのため、本州では小麦の作付けが伸びないのです。
 収穫時期を迎えた麦は一刻も早く収穫をしなければなりません。 過去に収穫を目前にして雨の日が続き、収穫したものの品質検査に合格できず収入がゼロになった苦い経験があります。  最近は、空梅雨の年が続いているため油断している農家の多いようです。 しかし、 米や麦・大豆など殆どの農作物は、一年に一回しか収穫できません。  お天気相手の百姓です。 お天気は、毎年変わります。 忘れた頃にやってくる最悪の天気を想定して、農作業を進めるのがプロの百姓だといえます。 それでも、天気に勝てない時が多くありますが、やることさえやっていれば悔いが残りません。  お天気を見ながら 早め早めに農作業を進める。そのために、忙しく働くことになります。 これが、百姓なのだと自分自身に言い聞かせながらの農作業の日々です。  今年の大麦の収穫は、無事終わったものの、直ぐに大豆の播種作業で早朝からの農作業が続いています。 毎日 天気予報を気にしながら仕事を進めていますが、梅雨入り宣言後、雨や曇天の日がつづき 作業の判断に苦労しています。 大豆は、種蒔き直後に 強い雨が降ると極端に発芽が悪くなります。 強い雨により、土の表面に薄い土の膜が出来、酸素不足になり発芽不良になると考えられます。また、最近の研究では、種子が急激に水分吸収すると種子の細胞が破壊され発芽不能になるのだということも分かってきました。 水はけの良いの畑だけに作付けするといいのですが、多くの場合、米の生産調整で休んでいる田んぼで作っています。 しかも、梅雨時。 水分が少ないと発芽しませんし、水分が多すぎると発芽しません。大豆が芽吹くという事は、本当にデリケートな事だと痛感する日々です。
 毎年 大豆の播種作業は、お天気さまとニラメッコ、頭を悩ませる日々が続きます。
播種作業を、終えたものの発芽不良で 再度 蒔き直しということも 珍しくありません。
 仕事が終わってヤレヤレと思ったことを また やり直すという事は凄くエネルギーが必要です。 一年に一度し収穫できないと思えば、ギリギリまで仕事をする。これも、また百姓。
 田んぼでは、稲も日々育っています。 忙しい日々が、まだまだ続きます。


NO,176  田んぼ通信 平成21・5・14

 今年の田植えも10日に無事おわりました。代掻き作業を始めてから半月、早朝から夜まで忙しい日々を過ごしました。 
今朝は、快晴。 乾いたヒンヤリとした空気の中を、田んぼの見回り作業。
里山は、すっかり若葉の緑に変わり、残雪の蔵王の山々が早苗の田んぼに映え、美しい風景が広がっています。仕事をしながら幸せを感じるひと時でもあります。 
ホッと一息、辺りの景色を、楽しむ余裕がでてきた今日この頃です。
 今年の田植えは、毎日が絶好の田植え日和。 連日、風もなく夏日を記録する日もある等 あたたかな快適な田植えでした。 毎年、田植え期間中、冷たい風が吹くものです。 それが今年は、全くありませんでした。  何処の田んぼも、植え痛みがなく無事に根付き、新しい葉が伸びてきました。黄緑色の、きれいな田園風景が広がっています。  こうなれば、一安心です。
ところで、古老によれば田植えが順調な年は、秋(作柄)は良くないといいます。いまから、夏の天候を心配する声を聞きます。 良い事は、そんなに長く続かないものだ、というという意味も含めての言葉でしょう。 しかし、貴重な経験から来る言葉です。 例年よりもまして、心して田んぼに通わねばなるまいと考えています。 それにしても、田んぼに稲を植えない限り、お米は出来ません。
当たり前のことですが、この当たり前の「田植え作業」をする為に、毎年いろんな想いを重ねて田んぼに通ってきたといえます。 秋の出来不出来は、これからの天候次第。 田植えが終わった夜、田植えを手伝っていただいた親戚一同をあつめて、「早苗ぶり」を行いました。 苗を一束、神棚に供え農作業の安全と豊作を祈願しました。  
さて、田植え作業といえば、5月連休にかけて多くの人が田んぼに集まり、お祭りのような賑やかさとエネルギーを感じたものです。 それが、今年はいつの間にか終わってしまったという感じです。 地域のエネルギーも感じませんでした。
昨今の米を取り巻く情勢を、反映してのことだと思いますが淋しいものがあります。  田植え期間中、夜が明けるのを待ってトラクターに乗って代掻き作業に出かけるのですが、久し振りに隣村の大先輩に会う機会がありました。
 同じくトラクターに乗って代掻きに来たのでした。 地域でも 大規模に田んぼ仕事をしている大先輩です。 年を聞けば、83歳とか。なかなか元気なものだと感心しましたが、我が親父さんも82歳を過ぎました。今年も、元気に代掻き作業等の仕事をしてくれました。 農業は、体さえ丈夫であれば、いくらでも仕事があります。田植え作業等の時は、なおさらです。 片付け作業等、手作業がたくさんありますし、何よりも長年の経験から来る仕事の要領の良さには感心するばかりです。村には、80歳前後の人達が元気に田んぼ仕事に励んでいる人がたくさんいます。いつまでも、年寄りを当てにしなければならない、農業界の現状もありますが、考えようでは農業は素晴らしい仕事です。
 そうは思うものの、いつまでも80歳前後の老人を当てにした米づくりでいいのか。     もう限界。
一日も早く、田んぼに元気な若者の声が響き渡る米づくりを切望する今年の田植えでした。


NO,175  田んぼ通信 平成21・4・15

 今朝は、小雨が降っています。 久し振りの雨です。  雨の中、麦畑を見回りに行って来ましたが 麦の緑がいっそう濃く感じます。この10日余りの間、 夏日を記録した日が二日もあり、空気がカラカラ乾ききっていました。  
昨夜から降りだした雨。大雨になることを心配しましたが、適度な雨量で正しく恵みの雨となりました。
 仙台の桜は、7日に開花宣言でました。 その後、10日には最高気温27度という7月下旬の気温なり、 開花から3日で満開になりました。 
育苗ハウスでは、稲の苗が一枚目の葉が出揃い、緑のジューウタンを敷き詰めたようです。 今年の農作業も、例年通り暦と共に進んでいます。 世の中の情勢が、どのように変わろうとも、農作物の生育ステージにしたがって農作業を進めなければなりません。 経済情勢など人間様の都合には関係なく、農作業はすすみます。 しかも、お天気さま相手。お天気さまは、毎年 微妙に違います。
 育苗が始まってからも、寒い日が続いたとおもったら、この一週間は、初夏の 天気が続いています。 日本の稲作技術は、マニュアル化が進み平準化されたといえます。いくらマニュアル化されても、相手は生き物、しかもお天気相手。
特に、育苗期間は細心の注意が要求されます。ことしも、3月下旬に床土の準備。種籾の芽だし作業をし、今月2日に一回目の種蒔き作業を始めました。種蒔き作業は、一回750枚、6回に分けてします。最終の種蒔き作業は、16日の予定です。 今月28日には、田んぼに水が入ります。その間、田んぼの畦塗り作業、元肥施肥作業等の仕事も進めなければなりません。 
 暦とお天気様のご機嫌を伺いながら、農作業の日々が続きます。
ところで、10日夕方、我が家から10数キロ離れたところで山火事が発生。民家の火災から燃え移り山火事に。120ヘクタールの森林が焼失という大惨事になりました。 全国ニュースでも報道され、多くの皆様にご心配いただきました。
多くの皆様から火災お見舞いをいただきまして、本当にありがとうございました。 
私は、消防団に入って今年で33年になります。 消防団には、火災だけではなく、水害そして人命救助等、あらゆる災害に出動要請がきます。 今回の火災は、角田市地区内でも他所の村でしたので、直ぐに出動要請が来ませんでしたが、火災が広がったという事で、角田市消防団全分団に出動要請がきました。 角田市内には旧町村毎に7つの分団があります。村には、行政区毎に8名前後の団員で班があり、小型ポンプ積載車が配備され、数個の班が集まって、部が構成されています。部長は、災害時には、分団長の指示に従い行動します。 今回は、10日夜 10時半に分団長より出動要請。明日(11日)朝5時、火災現場に集合、という連絡。 11日朝 4時半に団員と共に火災現場に直行。それ以来、鎮火宣言が出された13日まで連日火災現場で消火活動が続きました。 火災現場の地元消防団は、火災発生の10日夕方から地元公民館などに泊りがけ、5日間連続の消火活動。 消防団員は、農業等の本業を持ちながら消防団に入っています。丁度、時期的にも農繁期。それでも、自分の仕事を投げうっての消火活動。銭金では、ないというものの、一日出動手当て2,700円。  我ながら、消防団の皆さまご苦労さまでした、と言いたいです。消防団に対する見解は、様々あるでしょうが、入団の動機がどうであれ、消防団は国内最大のボランティア組織だといえます。  
世の中、消防団に限らずたくさんのボランティアで成り立っているのでしょう。


NO,174  田んぼ通信 平成21・3・16

 今年の冬は、雪が殆ど降りませんでした。 雪景色は、僅か2回。雪は、積ったものの、半日で消えてしまうほどの積雪でした。 しかも、真冬日はありませんでした。
 最近、暖冬傾向にありますが、これほどの暖かな冬は初めてです。
東北地方でも、雪の少ない地域の角田市です。それでも冬期間、雪景色は、数日続くものです。 雪が積ると、心が落ち着きます。 昨年を振り返り、今年の稲作に思いをめぐらす貴重なひと時です。 今年は、それがないまま春を迎えました。
正月を迎えたと思ったら アットいう間に3月半ば。もうじき、種蒔きが始まります。
 時のたつのが、いっそう早く感じる今年の春です。
10日に塩水選作業を開始。15日には、種籾の消毒作業。 今年も、本格的な米づくりが始まりました。 世の中、未曾有の不景気。輸出産業に依存した企業ほど生産体制の大幅な見直しをせまられています。しかし、米づくりは、作物の生理とお天道様のご機嫌をうかがいながら季節と共に作業が進みます。人間様の都合による世界経済の動向等とは関係なく生産が続くのです。 しかも、命に直結した食べ物です。生産コストが賄えないからといって、生産をやめることは出来ません。誰かが、責任を持って生産し続ける事が必要です。また、毎年の作業も、多少の機械化による作業効率向上はあっても、基本的作業は同じ作業の繰り返しです。違うのは、毎年の天候。
作物を育てるにあたり、最も影響力があるお天気さまが 毎年違うのです。 農業のなかでも広い耕地が必要な稲作や大豆、麦等の土地利用型農業にとって、お天道様の 動きがもっとも気になるところです。 しかも、人間様の力などでは、コントロール 出来ません。 毎年の農作業は、同じでもお天道様が違う。「米づくりは、毎年 一年生」と言われますが、その言葉の重みを実感します。
百姓を始めた36年前と殆ど同じ日時・作業工程で塩水を作り生卵を浮かべ、比重をこの目で確かめ、塩水選作業を始めました。 
 ところで、先日「農商工連携をリードする経営人財育成セミナー」なる会合に出席する機会がありました。 送られてきたパンフレットに、主催者として、暫らくご無沙汰していた東北大学経済学部教授・大滝先生の名前があったのと、経済産業省が共催する農業に関するセミナーという事もあり興味があり参加。昨今の経済不況により、農業分野が注目されてきています。農業界以外の分野の人達が、農業なり日本人の食べ物に対しどの程度の知識と思いがあるのか、この目で確かめておきたいという思いも強くありました。 参加者は、農・商・工連携というというものの、殆どが商・工 並びに大学関係者と思われる人が殆ど。農の関係者、特に生産に直接係わりを持っている農業者は、自分以外に果していたのかという雰囲気。 今後、東北大学経済学研究科の教授陣を中心に「農商工連携プロジューサー育成塾」を立ち上げる予定のようだ。 塾を通して各セクターを越境し、且つつなぎ合わせることのできる高い志をもつプロフェッショナル人材を養成するのだという。 常々、農水省ならびに農協組織に依存した食糧生産に限界を感じていたので、大いに期待したい。セミナーに参加して感じたことは、農商工連携を進める上で、「食べ物」イコール「生き物」だという認識と「命」に直結した産業を立ち上げるのだという共通認識を構築できるかが大切に思えた。「農」を特別扱いにしろなどという思いはない。しかし、戦後近代化農政は、農業者は商・工に学べという一貫した流れがあったように思える。いま、農商工連携を言うのであれば、商・工・関係者は「農業者」に学ぶ。という認識に立てるかが大きなカギを握っていると感じた。


NO,173  田んぼ通信 平成21・2・15

 昨日は、春一番が吹き荒れました。 角田市も最高気温16度を記録。静岡県では 26度、夏日を記録したといいます。全国各地で、2月の最高気温を更新したようです。
この冬は、雪らしい雪は一度だけ降りました。それも、べた雪、日が高くなると共に あっという間に消えました。 本格的な雪が降らずに、一気に春を迎えるのでしょうか。 天気が変です。 夏の天気が、心配になります。
ところで、国政も変ですね。  それに伴い、農政もまたまた、迷走を始めようとしています。 新たな農業改革論が突然でてきました。 これまで、猫の目農政とは言われてきましたが、最近の農政は、猫も呆れるほどの農政が続いています。
 農業業界紙より、「基本計画の見直し議論スタート」という特集をやるので、生産現場の率直な意見を書いてくれという依頼があり丁度 書き上がったので 皆さんにも、 農政に少しでも関心をもって頂きたいと思いますので以下紹介します。
 農業共済新聞 2月25日付け 寄稿
またもや紙上に「農政の大転換・抜本的見直し」という文字が躍る。
「冗談じゃない。なにを、いまさら!」というのが率直な思いだ。
「生産調整は選択性に」と言うのが今回の抜本的見直しの目玉だという。 
その問題は、「稲作経営者」として総合的に判断して対応すればいい話だ。
制度的に、現行システムでも保証されている。
地域水田協議会の生産調整方針作成者として「参加するか」「参加しないか」という意志表示する事で、生産調整は実質「選択性の時代」になっているはずだ。
私は、平成16年4月の新制度施行直後に、国に申請し生産調整作成者の一人となった。
水田専業農家として、これからも安定した稲作経営を続けていくための「経営者」としての判断だ。
戦後農政の大転換、平成6年の「食糧法」が施行されて15年が経とうとしている。
その間、多くの議論を重ね幾多の改革案が示されてきた。 米政策の行方を見守り「食糧法」に謳う「あるべき姿」に稲作農家として生き残るための夢を重ね合わせ、家族一丸となって必死に生きてきた。 改革への期待は、幾度となく裏切られ、遅々として進まない農政の現実を目の当たりしながらも、逃げ出さずに真正面から米づくりに取り組んできた。
国民の命の糧である「食糧生産」を担っているという「百姓」としての「誇り」と「責任」があるからだ。
いま必要なのは、農家・農民にとって耳障りのいい話や、米政策を見直すことではない。
 見直すべきは、農協を核とする旧食糧管理法時代の農政推進システムを温存し、農政改革を進めようとする「農林水産省」と、最大の生産調整方針作成者である「農協」のあり方だろう。
議論すべきは、食糧の安全保障である。国内自給100パーセントを前提とした生産体制構築へ向けての議論だ。  国内食糧自給率が40パーセントという現実のなかで、残り60パーセントの日本人の食糧を、何処の国の、誰に委ねようとしているのか。一商社にだけ任せていいのか。誰も責任をもって議論していないではないか。農政は、農家・農民だけにあるのではない。    これ以上、無責任な農政議論を続けることは、やめて欲しい。       以上
 
今月はじめ上京した際 アサヒビール本社にて 瀬戸雄三相談役さんと3時間ほど懇談する機会がありました。 瀬戸さんは、今年79歳。今も現役で働いています。5年程前から、農業にも取り組んでいます。
話のなかで、「ゆでカエルの話」がありました。 カエルを、熱湯に一気に入れると 飛び上がって直ぐに逃げるが、カエルを鍋に入れ 少しずつ温度を高くしていくと、気持ちよく泳いでいていつまでも鍋の中にいて ついには茹で上がって死んでしまうのだそうです。
今の日本は、正しく「ゆでカエル」状態だというのです。 いよいよ今年も農作業が始まります。


NO,172  田んぼ通信 平成21・1・14

 寒中お見舞い申し上げます。 正月以来 あたたかな日が続いています。 田んぼに雪は、ありません。 小雪は舞いますが、積るほどまだ降りません。 11日は、恒例の「農のはじめ」。  早朝 種籾に飾っていたオガンマツを下ろし、藁一束と田おこし鍬を持って以前、苗代 に使った田んぼに行きます。
 田おこし鍬で数回、田んぼを耕します。その上に藁を横に敷き、その中央にオガンマツを立て 朝日に向かって今年の豊作を祈りました。 いよいよ、今年も本格的な農作業が、始まりました。 世の中は、5日に御用はじめ。
殆どの職場で仕事がはじまりますが、百姓の仕事始めは毎年1月11日と決まっています。   それが、今年は違います。 
雪がなく 田んぼが乾いていたというものの、方々の田んぼでトラクターの姿を見かけました。 正月早々 なんたること。 せめて「農のはじめ」までは、トラクター仕事をしないものだと思っていました。そんな事など御構い無しの時代になったのか、と思うとなんとも淋しくなります。 世の中がどのように変わろうとも、我が家だけは「農のはじめ」の儀式だけは伝えたい。 そんな事を考えながらの「農のはじめ」 でした。

(今年の 私からの 年賀状から)
あけましておめでとうございます
穏やかな初日の出と共に、新年を迎えました。
  世の中 大きく動き出しました。
  ジッとしていられません。わくわくします。
 田舎の田んぼに立って、ジックリ見させていただきます。
世間で言う一流企業の経営者といわれる 殿方の行動を! それにしても、 日本経済の屋台骨を支えてきたといわれる 自動車産業。ナントも、情けない。 一年前まで純利益ナン兆円という、百姓には想像できないくらいの お金を儲けていた大企業。  それが、たった数ヶ月で ガタガタ。   しかも、少し調子悪くなると分かった瞬間、自分自身の体を守るだけで精一杯の対応。 これが 一流企業といわれた経営者の皆さんが やることなのか・・・。   と思うとなんとも情けなくなります。 世の中どの様に変わろうとも 人は食べなきゃ生きていけません。 「腹が減っては戦は出来ぬ」という言葉もあります。
  激動の時代。 いよいよ 百姓の出番です。 如何なる自然災害に遭おうとも、コスト割れの生産者米価が続こうとも春になれば愚直なまでに田んぼに立ちコメを作り続けてきた百姓先輩達。
  そんな、百姓の心意気と生き方を誇りに思います。 この春もこれまで以上に気合を入れて田んぼに通います。 ご飯を腹いっぱい食って、新しい時代を創造していきましょう。
      平成21年  元旦
      今年も よろしくお願い致します。