NO,195 田んぼ通信 平成22・12・15

 今年も残すところ半月となりました。  毎年のことですが、月日の経つのは早いですね。
皆様には、お米を通して 今年もたいへんお世話になりました。
 師走となりましたが、相変わらず暖かい陽気が続いています。 この冬 まだ一度も雪は降っていませんし、本格的な氷も張っていません。地元紙によれば、仙台での初雪の遅い 記録は今月17日。今年はその記録を更新するかもしれないという記事がありました。
 あまりの暖かさで、年の瀬を迎えたという感じがしません。 
農作業は、相変わらず忙しい日々を送っています。今月に入り、麦畑の農薬散布、来春の育苗に使う床土の確保等の作業も無事終わり 少しだけホット一息ついている今日この頃です。
   今年は、これから百姓を続けていく上で 大きな節目の年になりました。
世の中全体が、閉そく感が増す中で、まったなしで新しい価値観を求めて大きく動きだしました。 しかも、その価値観を受け入れるだけの時間的余裕のないまま、大きな流れがやってきました。 正確にいえば、時間的余裕はたくさんあったといえます。ただ、これまでもやるべき事は分かっていても、問題を先送りしてきた結果として今の事態があるというのが正しいでしょう。    私は、今年で57歳になりました。
百姓はじめて、37年目にして 百姓仕事が如何なるものかが、少しだけ分かってきた思いです。  いままで何やってきたんだ。という思いを強くする昨今です。
同級生は、定年退職を話題にする年になりました。 この年になって初めて、自分のやるべき事が 分かってきたとうのですから話になりません。 なんてオボコ(幼い)なんだべと笑われてもショウガナイです。 また先日、角田市の健康診断で大腸がん検診で陽性反応の知らせが届き、精密検査を受けるよう指導がありました。その結果、一日だけ入院してポリープの処置してもらいました。小学校5年生以来の入院です。 短期間の入院でしたが、検査結果の知らせを受け入院するまでの間にいろんな事を考えさせられました。
自分も体のことを気にする歳になったのだという思いを強くしました。 
百姓をはじめて30数年間、 自分なりの確固たる目標を持たず。ただ、周りを気にしながら自分を格好つけて生きてきただけではなかったか。 この間、どこかで自分から逃げていた自分自身に気付き、あらためてこれからの生き方を考えさせられます。  
本当にやりたいことは、何か。自分でやらなければならない事は何か。 この歳になって 初めて気付ました。遅すぎだといわれそうですが、 幸い、百姓は定年退職がありません。体が続く限り 自分の思いを実現できる可能性はあります。その可能性を信じ、少しは大人になって、些細なことを気にせず 行動あるのみ。 やりたいことをやる。やるべき事が 俺にはたくさんある。  そう思うと、これからの人生 これからが本格的な挑戦の始まりです。先ず やるべき事やる。 百姓を続けるうえで最も大切なこと。それは、作物が健康で育つ事の出来る「土」を育むこと。 このことは、多くの百姓諸先輩方が、語ってきたことでもあります。当たり前といえば、当り前のことですが、 当たり前のことをやり遂げることの難しさ。 もう一度、勉強のやり直しです。 物事には、全て基本があります。  今さら言うまでもなく、日本のコメ作りは 無責任な農政に翻弄され続けてきました。これからも、その流れは変わらないでしょう。 しかし、いまさら農政を嘆く気持ちはありません。 現在、TPPの貿易自由化交渉問題で大きな反対運動がおきています。多くのマスコミは、農業問題として取り上げています。しかし、この問題は、明らかに都市生活者、日本の生き方の問題です。 そうであるならば、ひとりの百姓として対応できる事は、「良い土」を育み、立派な作物を育てる努力を一層続けることだと信じます。 (通信を書いて昼近くになってしましました。今日は、昼にかけて気温が急激に下がり小雪がちらついてきました。初雪です。 良いお年をお迎えください)


NO,194 田んぼ通信 平成22・11・16

 昨日は、冷たい風が吹いたものの 暖かな晩秋を迎えています。
この秋、まだ本格的な霜は降っていません。 11月中旬だというのに・・・。
秋を感じることなく、一気に冬を迎えようとしています。
 今年は、最後まで天候不順に悩まされました。 稲刈りが終わり10月に入ってからもお天気が安定しません。 夏に お天気が極端に良かったので、その反動として秋の天候不順は予想していました。しかし、これほどまでに暖かな秋になるとは予想外です。
10月は、稲刈りも終わり、ホッと一息つく間もなく、大豆の収穫と同時に二毛作の大麦の種まき作業が始まります。 いつもですと、安定した秋空が続き順調に作業が進むのですが今年は違いました。 数日おきに雨が降り、しかも10月末には台風14号が接近。 台風そのものの影響はなかったものの、その後の大雨で 種播きを終えた大麦畑が冠水。 その影響で発芽不良。 播種作業のやり直し。 今年は、大豆の収穫作業が例年よりも早く始まったので 大麦の播種作業も例年よりも早く終わるだろうと思いましたが、結局 すべて終わったのが11月14日。予想より大幅に遅れてしまいました。 百姓仕事は、農作物を育てることです。 すべては、種を播かなければ はじまりません。 あきらめず、可能な限り作業を続ける。それが お天気相手の百姓仕事。  先ずは、大麦の種まきが終わりホット一息ついています。
 ところで、今年の秋を境に、東北地方の米地帯は生産構造が様変わりすることになるでしょう。 その根拠の一つとして、これまでコメ作りの中核を担ってきた、JA(農協)の存在が大きく揺らぎだしたことです。  秋は、収穫の時季です。 収穫を喜び お祭りも行われます。一年でもっとも喜びに満ち溢れる時でもあります。収穫の秋、恒例の農協祭が行われます。 角田で最も大きなお祭りです。 農協祭には、この15年来「アジアの農民と手をつなぐ会」でJICAのコーナーと タイ・イサーンコーナーを設置している関係で毎年参加しています。 今年も、天気にも恵まれ大勢の人で賑わいました。 同じ角田に住んでいても 普段なかなか顔を合わせる事がない先輩方も農協祭にはやってきます。  今年の農協祭で 特に感じたことがあります。 杖をついて歩く姿の先輩方を多く見かけたことです。  角田農業を共に熱く語り合った先輩方。杖をついて歩く姿をみると 時代の流れを感じると共に、淋しさも込み上げてきます。人出は、あったものの今ひとつ盛り上がりに欠けた農協祭でした。 この秋、農協から受け取るコメの概算金が大幅に下がりました。生産コストを全く無視した概算金の提示。角田市内の多くの農家は、農協から指定された肥料、農薬など生産資材の全てを農協から購入してコメを栽培しています。 生産コストを最も 分かっているハズの農協が、生産コストを全く無視した超低米価を組合員に提示し、コメの農協への出荷を呼びかける。全くの異常事態です。 経営者としての誇りも責任も感じることのない農協の現実。 その信頼は、今年の秋で大きく揺らぐことになるでしょう。  二つめに、市場開放問題です。特に、突然表に出てきたTPP問題。 市場開放問題は、昨今の世界的流れからすれば、基本的には避けて通れないと思います。しかも、国際社会を相手の戦いは、ますます厳しいものになることは、田舎で生活する私でさえ容易に予想できます。 そうであればこそ、「腹が減っては、戦はできぬ!」とは、昔から言われていること。 戦いの基本を ないがしろにして市場開放だけを叫ぶ今の政府。国民の基本的食糧を これからどのように確保し続けるのか。 食糧を生み出す「農業」という産業をどのように育てるのか。 その道筋が 全く見えない現在、TPP問題は慎重に対応すべきです。  前原外務大臣からすれば、たかだか数パーセントの国内農業かもしれません。 しかし、自分の腹を満足に満たす道筋も 明らかに出来ないまま、市場開放を唱える大臣の姿。 なんとも、頼りなく情けないことか・・・・。


NO,193 田んぼ通信 平成22・10・18

 いま村は、異常なまでに静かだ。 収穫の秋を迎えたというのに。
農家経営規模の大小にかかわらず、米作りの将来に対し大きな不安と失望している。
米どころ、東北地方の多くの稲作農家は、生産したコメの販売の殆どを農協に委託している。 収穫の秋、農協に米を出荷すると仮渡し金としてコメ代金が支払われる。すでに生産者米価は、生産原価を大きく割り込んでいるというのに、この秋さらに2割以上の大幅下落。 まさしく生産者米価の大暴落だ。    今年でコメ作りをやめる、という声を聞く。
9月27日付朝日新聞朝刊社説に「安いコメで発展する道を」と題する主張があった。
その中で、 「安いコメ」は、生産者にとってつらい話でも、消費者から見れば喜ばしい。今年度産米の価格が例年より大幅に下がる見通しとなってきたことも、先ずは消費者本位の発想で受け止めるのが筋ではあるまいか。米価の下落は、コメの過剰が原因だ・・・・・。と続く。 この社説を読んで、まず真っ先に思ったのが 朝日新聞たる大新聞社がなんと情けない主張をするものだ・・・・と。  「安いコメ」は 消費者本位の発想で受け止めて 本当に消費者のためになるのだろうか。  日本のコメの値段は、本当に高いのだろうか。 高級米といわれる米でさえ、ご飯茶わん一杯の値段が50円以下だ。
今さら、農家、農民の生活を助けるための農政を展開してほしい等というつもりはない。
 本当に「安いコメ」が日本国民の将来を約束するというのであれば「安いコメ」を国民に供給する為の具体的手法も同時に論ずるべきだ。 市場開放を示唆しているようだが、それだけで本当に大丈夫なのだろうか。 今年の稲作を振り返っても、春先の異常低温、夏の猛暑、そして10月を迎えたというのに夏日を数日間記録するなど、異常気象を肌で感じる毎日だ。 また世界的人口爆発、農地の減少等、ますます食糧生産を取り巻く環境は厳しさを増している。 社説の中で、今回の米価の下落は、コメ過剰が原因だ。と言いきっているが本当にそうだろうか。大きな流れからみれば、コメ過剰が米価下落の大きな要因だろう。しかし、本年産米の大暴落の震源ではない。震源地は、本年度から実施されようとする「戸別所得補償制度」だ。 その制度設計に重大な欠陥があるからだ。 社説の最後に、そのことに少しは触れているが 本年度に限って言えば、米価暴落は、正に農政がもたらしたものだ。 また、社説の中で、農家は、戸別所得補償制度があるので、最低限の所得は保証されるから 「良い」 と言っている。安全な食糧生産を求められる中にあって、生産者にとって再生産可能な適正な米価こそが必要だ。最低限の所得補償とは何を意味するのか。どういう想いで 最低限の所得補償といっているのだろうか。
責任あるマスコミには、少なくとも人の命に直結する「食べ物」を 如何に国民に均しく安定的かつ継続して供給するかを国民に問う情報提供を望みたい。残念なことに社説からは、 食糧安保の観点にたった責任と理念に基づく政策提言が、まったく伝わってこないことだ。 社説の中で 農業を支える仕組みを納税者負担に一本化しつつ・・・・とある。そう主張するのであれば、なおさら 農業の持つ本来的役割に対する理解を深め、国民・納税者に 納得して税金を負担してもらえる情報を提供すべきではないか。ただ単に、「安いコメ」だけで食糧問題を語って貰っては困る。 もちろん、JAの組織的現状認識の甘さと無責任な経営体質が コメ大暴落の大きな要因になっていることは、いまさら言うまででもない。 
 コメ作りを始めて、36回目のコメ収穫が終わりました。 今回の通信は、たまたま朝日新聞の社説を取り上げ、生意気なことを言わせてもらいました。また(政治家はもちろんのこと、全農など国民の食糧を預かる関係指導機関の皆さんは、百年後の将来を見通した国民の食糧をどうするか。自身の信念と責任において議論し発言してほしい。国も農協も国民の食糧の在り方を示さないまま、単に市場原理に委ね、時間任せの無責任な姿勢はもう許されない。という百姓先輩からのメッセージもお伝えしますです。)。


NO,192  田んぼ通信 平成22・9・7

 今年も、新米が出来ました。 全ての皆様に、心から感謝いたします。
今朝、早速 新米を炊き上げ 例年の如く神棚と仏壇にお供え、家族揃って収穫を感謝しました。  9月に入ったばかりというのに、稲刈りが始まりました。 
9月10日を待たずに、稲刈りが始まりました。  
米作りを始めてからこんなに早い稲刈りは初めてです。
 昨日の最高気温は、34度。 毎日が、真夏日の連続。 大汗をかきながら稲刈り作業。 コンバインもオーバーヒートになるのではないかと、心配になる程の暑さです。
9月だというのに全国的に厳しい残暑が続いています。 皆様 お元気ですか。真夏日が続き、今年の夏はいつ終わる。そんな思いを募らせる毎日ですが、季節は確実に収穫の秋を迎えました。  新米を味わいながら 秋の気配を楽しんでください。
 今年の夏は、記録ずくめの暑い夏でした。 仙台でも真夏日の年間記録(40日)を更新。厳しい残暑が続いていますので真夏日の記録はまだまだ伸びそうです。 
ここ角田でも、最高気温が37度という「猛暑日」が、数日間ありました。 この暑さ続きで、畑はカラカラ状態。 秋野菜の作付けに影響が出ています。 幸い田んぼは、水不足にならず無事に収穫を迎えることが出来ました。 
しかし、あまりの暑さに 人間様もバテ気味。稲も、一気に登熟が進み、バテ気味で品質が気になるところですが 無事お米を収穫出来ました。 
 毎年のことですが、新米には今年一年の思いがギッシリ詰まっています。
早春、種まき前に 民間の長期予報等あらゆる情報を入手。作付け計画を立てます。 今年は、冷夏の予報。育苗が始まった4月中旬に雪が積もるという異常事態。 あまりの低温続きで、育苗にたいへん苦労しました。その後も、低温傾向。 
誰しもが、冷夏を予感した今年の春先の天気。 それが、梅雨明け宣言がでた7月後半から連日の猛暑続き。 暑さから稲を守る為、例年になく田んぼに通いました。 
 今年のお米は、お天道様の光がギッシリ詰まっています。 もちろん、異常な暑さも詰まっています。 冷夏の予報は、外れましたが、極端な猛暑の連続といい、異常気象を乗り越え 無事にお米になりました。  お米に、感謝です。
 稲刈りは、始まったばかり。あまりのお天気続きで、その反動として秋の長雨が心配になります。 大型の台風も心配になります。 田んぼに、稲があるうちは安心できません。
暑さに負けず、収穫作業を急ぎます。


NO,191  田んぼ通信 平成22・8・17

 残暑お見舞い申し上げます。 立秋を過ぎたというのに、毎日うだるような暑さが続いています。 皆様お元気ですか。 先月18日に 梅雨明け宣言が出てから一気に真夏に。
角田では、真夏日を記録した日がすでに30日間を超しました。最高気温35度の猛暑日も数日間ありました。 例年 旧暦のお盆を過ぎると秋の気配が深まるのですが、猛暑が暫く続くようです。 近年まれにみる暑い夏がつづいています。
旧暦のお盆は、一年のひとつの区切りでもあります。 今年も、東京をはじめとする遠くの親戚や近隣の親族がお墓参りを兼ねてやってきました。 毎年のことですが、賑やかなお盆です。 我が家は、本家。迎える立場です。特に、妻をはじめとする女性の方々には何かと気苦労をかけます。 毎年のこと、笑顔で親戚を迎えてくれます。 本家の嫁の務めとはいえ、昨今の社会情勢を考えると 本当に頭が下がります。家族には、気苦労をかけますが いつまでも我が親族の心の拠り所として、元気に百姓を続けていきたいものだと改めて思う今年のお盆でした。
 さて春先の寒暖の激しい異常な天候から、今年は冷夏になる。 また、気象庁や民間の各種のお天気占いでも冷夏になる公算が高いと予想されたこの夏のお天気。 結果は、全く逆の猛暑。誰が、ここまでの猛暑を予想出来たか。お天気の予報は、本当に難しいといえます。 しかしながら、今年のお天気占い、冷静に判断すれば全く外れたとはいえないでしょう。この異常なまでの猛暑。 異常な「冷夏」予想が全く逆の猛暑になっただけで「異常気象」という点では予報は当たっています。 たまたま、チョットしたお天気様の気まぐれで「暑さ」と「寒さ」が反対の現象になっただけだと受け止めた方がいいと考えます。 最近のお天気は、まともではない「異常気象」の下で暮らしているのだという思いを更に強くしています。 その気まぐれなお天気様相手の仕事が百姓仕事。 それで暮らそうとする専業農家はなおさら難しいのが当たり前。せめて、人様が関わり成り立つ 「農政」だけでも見通しが立てば少しは気が楽になるのですが、それも期待できない。 
所詮 百姓は田んぼや畑で勝負。 如何なる社会情勢になろうとも、種を播いたからには立派な作物に育てることが本来の百姓仕事。田んぼ畑を信じ、お天気様を真正面から受け止め、その現実を素直に受け入れ、農政の動きには常に敏感であっても、当てにしない。 「良い作物を育てることが百姓本来の仕事」 その思いをいっそう強くした夏でもあります。 ところで、田んぼの稲は、このところの暑さで生育が早まっています。8月1日には殆どの稲穂が出揃う出穂期を迎えた田んぼが多くありました。例年よりも5日以上早い出穂です。 しかも、出穂はじめから出穂期までは数日間かかるのですが、今年は、アッという間に出穂期を迎えました。 穂揃いも良く、近年になく見事に一斉に花が咲きました。  いま たんぼでは、稲穂を深く垂れて始めました。 稲が収穫できるには、出穂期からの積算温度で約900度から1,000度が必要だといわれています。 品種によって積算温度が変わるのですが、このままの猛暑が続けば9月10日を待たずに収穫適期を迎えることになります。 今年は、お日様の光をいっぱい浴びて、美味しいお米になると期待できます。しかし、心配もあります。 水不足は心配ありませんが、余りの猛暑続きで 稲もバテないか心配になります。 日中の暑さは、歓迎できるのですが、夜温が高いのが心配です。
寝苦しい夜が続き、人間もバテ気味ですが、稲にとっても夜温が高い事は良くありません。
 あと20日も過ぎれば稲刈りが始まります。 猛暑が早く収まり、台風がやってこないうちに無事に収穫出来ることを祈る毎日です。  
次回は、ピカピカの新米をお届け出来るでしょう。楽しみに待っていてください。


NO,190  田んぼ通信 平成22・7・15

 今日は、朝から雨です。昨日も、小雨がぱらつく一日。九州など西日本各地は 大雨が降り続き 大きな災害も発生しているようです。 幸い、ここ角田は、雨が降るものの大雨はふりません。 今のところ大きな災害もなく、相変わらず、あわただしく農作業に追われる日々をおくっています。 春以来 極めて不順な天気が続き、冷夏の予想と相まって秋の実りが心配されてきました。 しかし、6月14日に梅雨入り宣言が発表されてから、気温が上昇。 夏日・真夏日を記録する日が続くなど、蒸し暑い日が続いています。 この暑さで、遅れていた稲の生育は回復し順調に育っています。 田んぼでは、稲の赤ちゃんが芽生えました。 稲の茎をそっと剥いてみると、真白な産毛に包まれた2センチほどに育った幼い穂が現れます。 稲作関係者間では、稲の穂が目で確認でき1センチ前後に育った時期を「幼穂形成期」・稲穂が約3センチ以上育ち花粉ができる時期を「減数分裂期」といっています。  特に これから迎える「減数分裂期」が稲の一生で最も低温の影響を受けやすい時期です。 この時期に20度以下の低温に数日間さらされると、花粉の形成が阻害され全く実らなくなります。  花粉が出来る「減数分裂期」は、穂の大きさからも判断できますが、出穂前の5日前から15日前の10日間です。 稲を育てる上で大切なポイトがいくつかあります。その中でも、花粉が出来る時期に障害を受けると致命的な災害となります。 極端な事をいえば、この10日間さえ無事に過ごせばお米は出来ます。 春以来 不順な天気が続いています。  今年は特に、冷夏による最悪の事態を想定し覚悟を決めて田んぼに通ってきました。 7月中旬から下旬、これから半月は、毎日の気温が最も気になる時期です。 また、秋の実りに影響する追肥作業を決める勝負の時を迎えます。 天気予報では、これから暫く、気温が高い日が続くようです。ひと安心ですが、油断はできません。  お天気様の事は、誰にも分かりません。 この一カ月間が、たまたま気温が高かっただけで、いつまた天気が崩れるか。常に、最悪の事態を想定し、早め早めの農作業を心がけています。 これまで一カ月の農作業を振り返ってみると、毎年事ですが最も忙しい日々を過ごしてきました。 我が家は、 約9ヘクタールの転作田で大麦と大豆の二毛作をしています。 6月中旬、大麦を収穫直後に、大豆の作付けが始まります。大豆の種まき時期も決まっています。遅くなると秋の収穫に影響します。しかも 畑は、お天道様の下にあります。 当たり前のことです。 この当たり前のこと忘れて、人様のご都合に合わせて農作業をしていたら、少なくとも専業農家では食えません。全ては、農作物の生命のサイクルに合わせて農作業を組み立てる。もちろんお天道様のご機嫌を伺いながら。世の中は、週休二日?一日8時間労働?とんでもない。 関係ないことです。 必要な時は、三度の飯もほどほどに、数時間寝る以外はトラクター仕事等の農作業。 そんなことは、それなりの農業経営をしている専業農家は誰でもやっていることです。 我が家では、4台のトラクターがあります。 大豆の播種作業は、少なくとも3台のトラクターが同時に動きます。妻はもちろんのこと、83歳になる親父さんも総動員しての作業となります。 幸せなことに、親父さん現役でトラクター仕事をしてくれます。 頭が下がります。 今年の麦の出来は4月の極端な天候不順で実りはよくありませんでした。 毎年一等の麦を生産していましたが、今年の一等麦は半分もありませんでした。 JA角田管内で一等麦を生産したのは我が家だけでした。それでも、無事に麦の収穫を終え、大豆の種まき作業も順調進み、例年課題だった大豆の発芽も良好です。   ところで、参院選挙も終わりました。 今の日本を生きている日本人が投票して決めたことです。全ては、この現実を直視し、そのうえで自分の将来を語るしかないでしょう。それにしても、またしても農政は大きく動くでしょう。頼れるものは、田んぼへの思いを共有していただける消費者の皆さんだけです。やることは、真面目に田んぼに通うだけです。


NO,189  田んぼ通信 平成22・6・15

 きのう14日、関東地方から東北地方南部まで一気に梅雨入り宣言が出ました。
例年よりも、遅い梅雨入りです。ここ数年、梅雨入り宣言が出るもののカラ梅雨の年が多く、子供の頃に経験した梅雨特有のジメジメした天気が続くという事は少なくなりました。 天気予報では、ここしばらく雨の予報が続くようです。  季節は「麦秋」。今年も昨日から麦刈作業を始めました。 ここ数年、6月10日頃には麦刈作業を始めるのですが、春先からの天候不順が影響し4〜5日遅めの作業開始となりました。 6月に入り晴天が続くようになりましたが、相変わらず気温が低めの傾向が続いています。 日中、夏日を記録する日があるものの夜温が低く、結果として地温が低いようです。先月の通信にも書きましたが、その影響はいろんな作物に出ています。 サツマイモの苗を植えたが、根付かず枯れてしまった。春大根を播いたが、大きくならないうちに花芽が分化し何回も播き直した。という話を聞きます。 種苗店をしている友人は、サツマイモの苗の根が出ず枯れてしまうという経験は今までなかったというのです。 サツマイモは、暑いところの作物。 少々の干ばつや暑さで枯れないといいます。 それが今年は、地温が低いため根が出ないのだというのです。また、今年の稲は、田んぼよって生育がバラバラです。 6月も半ばです。例年ですと 日毎に茎の数が増え時期です。それが今年は、苗作りの失敗等で遅植えした田んぼ程 極端に生育が悪く植えたままの状態という田んぼを見かけます。幸い、我が家の田んぼは、例年と比べると少し遅れていますが順調に生育しています。
 最近の稲作で気になっている事があります。 それは、稲作りがいい加減になってきているということです。 基本技術が忘れられています。安全・安心な米作りという言葉だけが先行し、基本的な病害虫防除技術の省略や極端な粗植栽培、そして遅植え栽培等。
手抜き栽培としか思えない田んぼが増えてきました。 米の消費が伸びず、国内では飽食の時代等と言われコメ余りが続いています。しかし、コメが余ってきたのは、つい最近のことです。 戦後の食糧難以来つい20数年前まで、国立農業試験場をはじめとする試験研究機関等で、国を挙げて米の安定生産に取組んできたはずです。 その間に培われてきた栽培技術は、基本技術として体系化されています。 貴重な資料もたくさん残っているはずです。 よく特別な栽培をしているのではないか、教えてほしいと聞かれます。決まって答えることは、特別な事は何もしていない。唯一言えることは、 先輩達が培ってきた基本技術を守ること、そして確実に実行すること。 ところで、先日タイ国からダイエー君が角田にやってきました。彼は、北タイの少数山岳民族ラフ族のリーダーです。 今年、46歳になります。今回は、大地を守る会の招待で5月中旬から6月中旬まで約一カ月の予定で来日しました。角田には、我が家にホームスティーしながら3日間滞在しました。12日夜には「角田市アジアの農民と手をつなぐ会」主催で活動報告会をしました。彼と角田の付き合いは20年以上になります。角田に来るのは3回目です。前回は、10年前の秋でした。彼は、ラフ族の子供達のためにチェンライに子供の寮と研修農場を建設し活動しています。角田からは、郵政省ボランティア貯金を活用し750万円程の資金を提供し、子供達の研修農場の建設の手助けをしました。 報告会では、パワーポイントで最近の村の様子や研修農場の様子を紹介してもらいました。8年前に角田から提供した資金が有効に活用され大いに役立っている様子を確認し、参加者全員で誇らしく思えました。また、村の様子が映し出されると、北タイの険しい尾根にへばりつくように暮らす村の風景に、なんともいえない懐かしさを感じたのは私だけではなかったようです。現代社会を蝕む麻薬の被害を少しでも減らすには、貧困からの脱却が必要だといわれます。 ダイエー君の活動が少なからず役立っているのだと思う嬉しくなります。そして、角田の百姓達もほんのチョッピリだけでもその活動を支えていると思うだけでも幸せになります。


NO,188  田んぼ通信 平成22・5・15

 今年の春先の天気は、本当にへんです。 
5月の大型連休に入り、4月の低温が一転。春を通り越し一気に初夏の陽気。気温は20度を超え、夏日を記録する日があるなど順調に田植え作業を終えることが出来ました。
 我が家では、お陰様で、苗の生育も順調で、田植えの天気にも恵まれ11日に無事に終わりました。 田植え期間中、殆ど寒さを感じることなく作業を終えることが出来ました。これも珍しいことです。 連休中に植えた苗は、新しい真白な根を伸ばし順調に育ち始めました。 先ずは、ホッと一息ついている今日この頃です。
しかし、一般的には、田植え作業は平年に比べ大幅に遅れています。 4月の低温で苗の発芽不良・病気の発生等で苗の生育が遅れ田植え作業も遅れています。例年、私の地域では、連休中にほぼ田植えが終わります。今年は、田植えが終わらない田んぼが 多くあります。 JA等によれば、苗を失敗した農家が多く、苗の手配に苦労したといいます。 
4月は、極端な低温と日照不足でした。 しかも、気温の変動が激しい年です。4月18日は、恒例の角田市消防団春季消防演習。 毎年4月20日前後に開催されます。 消防団に入って33年。 例年、桜は満開を過ぎ花が舞う中での演習です。 今年は、演習前日 10センチほど雪が積もるという異常事態。4月に雪が舞う事はこれまでも経験はあるものの、雪が積もるのは数十年ぶりといいます。 毎年演習は角田市総合グランドで行われるのですが、雪のためグランドは使えず急遽、市総合体育館で開催。 遅れていた桜が漸く ほころびはじめ、その花に雪が積もるという珍しい光景。 花見と雪見が一緒に出来るというこれまた滅多に見られない寒い中での消防演習となりました。
ところで、昨日、市内で種苗店をしている友人と情報交換をしたところ、ここにきて4月の極端な低温と日照不足の影響が出てきているといいます。 農作物は、天候に大きく左右されます。温度も大切ですが、日照時間が作物の生育に大きく影響します。4月に極端に日照時間が少なかった為 地温が上がらず障害が出ているといいます。ジャガイモが上手く発芽しないというのです。低温のため発芽に時間がかかり、そのうち腐ってしまうというのです。発芽しても貧弱な芽が多いというのです。このような事は、これまで経験がないといいます。また、ハウストマト等果菜類は、日照時間が大きく影響します。今年は、トマトの空洞果が多いといいます。 大麦の生育も遅れています。例年田植えが始まる5月初めには、穂が出揃うのですが今年は出穂はじめ、一週間から10日位遅れています。そのほかの様々な作物にも影響が出ているようです。 田んぼで会う古老は、異口同音に今年はおかしいといいます。 再び活発化したというアイスランドの火山噴火がどのように影響するのか。心配した晩霜の被害は、ありませんでしたが夏の天候がたいへん心配になります。   お米は、田んぼに稲を植え根付きさえすれば、前半の生育が少しぐらい悪くとも後半の天候が良ければお米になります。 問題は、稲穂が芽生える7月から出穂期の8月にかけての天気です。その時の低温さえ上手く乗り切ることが出来ればお米になります。 正直なところ、今年の米は「秋に無事にお米になれば 儲けものだ」というのが率直な心境です。 全ては、お天道様のご機嫌次第です。お天道様の力は、偉大です。
 お天気様は、どうにもなりませんが、その被害を最小限に抑えることは出来ます。
低温を前提とした施肥設計もしました。 米作りに難しい理屈はいりません。
 後は、日々の田んぼの見回りをどれくらい真面目にやるかです。 田んぼに、通う時間を例年以上に増やします。


NO,187  田んぼ通信 平成22・4・13

 きのう4月12日正午の気温、2.6度。 真冬並みの気温です。 一日の最低気温を真昼に記録しました。 一日中 雨。時折ミゾレ混じりの冷たい雨が降り続きました。
田んぼは、代掻き出来るくらいに水浸しです。 今月28日には、田んぼに用水がやってきます。 それまでに、元肥散布など大切な仕事があります。 トラクターで作業をするのですが、田んぼが乾かないと作業がたいへんです。 2月以来、天気が続かず田んぼの仕事が例年よりも遅れています。その挙句の今回の大雨です。    そして今日の最高気温は18度ぐらいまで上がるとか。  天気がおかしい。気温の変動が激しい春です。
 我が家から小学校まで約一キロ。 そのほぼ中間地点に早咲き桜の大木があります。
4月8日は、小学校の入学式。  毎年、ピンクの見事な桜のが、満開に咲き誇り一年生を迎えくれます。 今年は、その桜が咲きませんでした。 漸く咲き始めたばかり。 こんなに遅く咲くのは、最近では記憶にありません。 ソメイヨシノも、蕾が大きく膨らみ一斉に咲きだしそうですが、この寒さで足踏み状態です。
あまりにも天気の変化が激しいと 夏の天気が本当に心配になります。 民間の予報では、この夏の天候は、非常に危ない。天保の飢饉のような天気になるかも・・・。という話まであります。 自然の事は、誰にも分かりません。 自然相手の百姓仕事。  毎年変わる天気に、躊躇し農作業時期を変えていたら仕事になりません。 今年も、今月2日種まきを始めました。農作業は、例年通り暦に従い進めます。 ハウスの中では、最初の苗が順調に育ちはじめました。 次々に種まき作業は、続いています。5月初めには、田植えが始まります。 米作りは、一年に一回です。 それだからこそ、一つ一つの農作業を確実にやる。 常に最悪の事態を想定し、目の前の仕事に最善を尽くす。 その積み重ねの結果として お米が収穫できます。もちろん想定を超えることもあります。その時は、素直に現実に目を向ける。そこからしか、次のコメ作りが始まらないのだと信じています。     ところで、先日の日曜日、年に二回ある全戸参加の共同作業がありました。 朝5時半集合。 70戸余りの小さな集落です。各々がスコップ片手に集合です。春は、「江払い」といって主に用水路の土砂払い作業をします。これまで、殆どの農家で田んぼを耕作していました。しかし、ここ数年、田んぼを所有していても、耕作そのものを委託する農家が増えてきました。  田んぼで稲を育てる為に水が必要です。
その田んぼの水は、数キロ程離れた阿武隈川から取水しています。 土地改良区が管理している、用水機場でくみ上げられた水は、パイプラインを通して田んぼにやってきます。 集落の要所にバルブがありそこから田んぼに通じる用水路を経て初めて各々の田んぼに水が入ります。 用水路は、人間の血管と同じように、一枚一枚の田んぼに水が流れるように地域全体に張り巡らされています。田んぼを耕作すればこそ、用水路の手入れが必要です。村の中では、昨今の農業情勢も反映して用水路の手入れは耕作者がするという集落が多くなってきました。 しかし、私の集落では 基本的に田んぼの所有者全員で 用排水路の手入れをするということで共同作業は続いています。 
年々耕作面積が増えている我が家にとって、たいへんありがたいことです。 米作りも一つの産業だ。稲作経営者として、米作りをすべきだ。と常々口にする私です。米を作るにあたり「田んぼ」は根幹の生産財です。その維持管理は、経営者が行う。これも当然のことです。 しかし、耕作するに関わらず、田んぼを所有しているということで、田んぼの手入れを共同でする。集落に住んでいる人達の、共通の生活の基盤として「田んぼ」がある。そんな米づくり環境がいつまで続くのかと考えさせられた、今年の江払いでした。


NO,186  田んぼ通信 平成22・3・15

 困ったものです。  3月に入り、本格的な農作業が始まるというのに、天気が続きません。  10日朝は、起きてビックリです。 あたり一面 銀世界が広がっているではありませんか。しかも、積雪30センチ。今年一番の大雪です。 三月の雪としては観測史上三番目の大雪だったとか。 春の雪ですので あっという間に融けましたが田んぼは 代掻き作業が出来る位に水浸し。 このままでは、いつ田んぼに入れるか分かりません。
今年も、本格的な農作業が始まりました。 今月はじめには、育苗用の床土砕土作業。
11日〜12日には、充実した種モミを選別する為の塩水選作業。その後、種モミ消毒作業。 そして、発芽を揃えるために約10日間に亘る種モミ水づけ作業。4月初めには、種まき作業が始まります。 また育苗用ハウスの準備もあります。 田んぼでは、代掻き作業を効率的にするため、トラクターによる小切り作業。元肥散布作業等の作業もあります。 
5月初めに田植え作業をするための準備作業は、暦に従い次から次と待っています。
米作りは、毎年ほとんど同じ作業の繰り返しです。 しかも、人間様の都合とは関係なく、季節の時間に合わせて農作業を進めなければ良い作物は育ちません。 
百姓仕事は、お天気次第。 特に外の農作業は、お天気様次第です。 人間様の都合に合わせて計画を立てても計画通りにいきません。お天気情報を見ながら、仕事が出来るときに早め早めに進める。 これが鉄則です。 百姓仕事は、仕事に追われてするのではなく、待ってするものだ。といわれるものの、理屈では分かっていても、なかなか出来ないのも常です。 それでも、百姓仕事を始めて36年。お天気様には、大いに勉強させられましたので、やるときには寝る暇を惜しんででもやる覚悟は出来ています。 
 ところで、今月9日は角田市アグリパソコン研究会(JA農業所得申告会)の確定申告日でした。研究会の代表をしてから10年以上経ちます。 昨年からeタックスによる確定申告を最大の目標として活動しています。研究会では、パソコンを利用した複式簿記記帳を実践し、それに基づく経営改善と農業経営者としての資質を高めることを目的に活動を続けてきました。 会員の殆どは、青色申告者です。 確定申告とパソコン研究会活動は、関係ないと思われるかもしれません。 しかし、共に複式簿記記帳が絶対前提条件です。 確定申告そのものは、会本来の目的ではありません。しかし、間違いのない申告をするために、パソコンを活用した複式簿記記帳は大いに役立ちます。 また農業界では、農業近代化が叫ばれてから30年以上が経ちます。その象徴として農業簿記記帳の必要性が叫ばれてきました。 しかし、その普及は多くの関係機関の努力にもかかわらず、遅々として進みませんでした。 農業近代化を呼びかけながら、その一方で農業経営者としての自立を妨げるようなチグハグナな農政が続いたことが大きな原因だと考えています。 時代は、大きく変わろうとしています。農業交付金が、農業関係団体を通さず直接、農家に支払われるようになりました。これから、この流れが大きくなるでしょう。 
税金が直接農家に支払われるからには、農家も経営者としの責任が問われることは当然のことです。 会員の殆どは、若いお母さん達です。 申告当日、税務署職員の指導のもと、東北税理士会から派遣されて税理士さんに 申告書を確認していただき作業を進めました。
eタックスによる確定申告を実施してからは、記帳している若いお母さんが確定申告そのものをやる姿も見かけるようになりました。 パソコンの普及は、農家のあり方まで確実に変化をもたらしているようです。


NO,185  田んぼ通信 平成22・2・16

 2月に入り雪の降る日が多くなりました。 1月があまりにも天気が良く暖かな日が続いたため、このところの寒さがいっそう厳しく感じます。  例年1月〜2月にかけて、田んぼの土は、カチンカチンに凍みているのですが、今年は全く凍みていません。
これまでのところ、暖かな冬だといえます。 ところが、6日の朝の最低気温が 氷点下14.5度というビックリするほどの寒さを記録しました。ここ角田で、最低気温がマイナス10度を下回るという事は、滅多にありません。 最高気温が15度を記録し4月の陽気になったかと思えば、一気に真冬に逆戻り。 気温の変動が激しい日が続いています。
さて、2月も半ばになり、今年の稲作準備作業が始まります。 今の時期、一番気になるのがこの夏の天候です。 昨夜も稲作研究会のメンバーと勉強会を開きました。関西の肥料メーカー本社から、専門の研究員がやってくるといことでそれに合わせて開催しました。

テーマは、より一層のうまい米作りに向けた施肥設計について。

 うまい米づくりの基本は、土作りです。  米の美味さと土に含まれる肥料成分及び生育期間における養分吸収との関係について、基礎的な理論を学びました。 また、天気予想で大きな拠り所としているのが、数百年前から 隣村の御諏訪神社で毎年1月14日の夜に行われる神事、「筒粥目録」です。 それによれば、稲作の最も大切な時期に 低温ヤマセの確立が高い事が予想されます。 夏の天気予想をふまえ、より安定的に一層の美味い米作りに向け、どのような施肥設計にするかを決めました。 「備えあれば憂いなし」という諺を仲間と共に確認し今年の稲作もスタートしました。
 ところで、政権交代と相まって またまたまたまた、農政が大きく変わります。
今さら言うまでもなく、戦後の農政は「猫の目農政」と評されるが如く、目先だけの無責任な農政が繰り返されてきました。 その度に、集落内で話題になったものです。
ところが、今回は雰囲気が違います。 気にはしているものの、殆ど集落内で話題にならないのです。 戸別所得補償制度ということで、規模の大小にかかわらず殆どの稲作農家に対し補助金が交付されるという事で不満はない? 新しい制度設計がまだはっきりしないので話題にできない? 等いろんな事が考えられます。 しかし私の目には、米作りの現場そのものが高齢化等で衰弱しきり、文句を言う気力さえ失った証なのだと思えるのです。 私が農業を始めて35年以上経ちます。 特に新食糧法施行以来10数年間、数年ごとにかわる農政のはざまにあって、私達稲作農民は、無責任な農政に翻弄されてきたといえます。 それでも 春になれば当然の如く種を播き、田んぼに水を張り、田植えをする。 愚直なまでに田んぼへのこだわりを持った諸先輩方。それが、当り前の光景と思ってきました。 
この通信でも度々報告してきましたが、諸先輩の皆さんの姿が急激に少なくなりました。 
政権が如何に変わろうとも、農政の最優先課題は、稲作経営の担い手をどう確保するかです。  戸別所得補償制度等の民主党農政は、一見してこれまでのバラマキ農政に逆戻りするかのように見えます。しかし、その手法を冷静に分析すれば、これまで自民党農政でやろうとしてもやれなかった、農政の実現に向け大きく踏み出したものだと思われます。 米政策は、大きく動き出そうとしています。
今回は、その根拠は書きませんが、自民党農政の延長線上には見えてこなかった 新しい農政の可能性が少しは見えてきたといえます。


NO,184  田んぼ通信 平成22・1・15

雪が降り積もる中で迎えた新年。 雪の正月は、数年ぶりです。
雪が積もると、時間までがゆったりしてきます。 久しぶりに、ゆっくり正月気分を味わえる。 と思っていましたが、その雪も、二日まで。 その後、気温も上昇。 
5日までには、田んぼの雪もすっかり融けて消えしました。 
 11日は「農のはじめ」。日の出前、今年使う種モミに飾っていたオガンマツをおろし、蔵にしまっておいた田おこし鍬と稲ワラ一束を携え、昔 苗代だった田んぼへ。
ここ数年 あたたかな正月が続いていますが、今年は一段と暖冬を実感。
「農のはじめ」のささやなか儀式として 田おこし鍬で田んぼの土を数回おこします。 まったく土が凍みていません。それどころか、排水路に溜まっている水も薄氷らしきものが僅かに浮かんでいるていど。 こんなに暖かな「農のはじめ」は経験ありません。夏気の天気が心配になります。例年にもまして、東に連なる、あぶくま山地から昇って来たお日様に、今年一年の家族の健康と豊作を祈願しました。
昨日は(14日)「どんと祭」。正月飾りを集落の神社に持ち寄り、お祓いの後、火が入れられます。小正月の行事「団子さし」も例年通り行いました。恒例の正月行事も無事に終わり今年もスタートしました。昨日から全国的に寒波が南下、九州等でも積雪のニュースがありましたが、ここ角田は、小雪が舞った程度で、まったく雪がありません。 
あたたかな新年が続いています。  

今年の私からの年賀状です。

あけましておめでとうございます
数年ぶりに新雪のお正月を迎えました。
正月元日は、恒例の集落新年会。二日は、消防団出ぞめ式。
正月三日にして、初めて自分の時間を持つ事ができました。
ここ数年 正月から大晦日まで夢中で突っ走る日々を送っています。
気が付けば、今年で57歳を迎えます。 同級生は、孫がいる歳になりました。 
我が家の子供は、4人です。大学生二人・高校生・小学校6年生。
今が、子育て真っ最中です。  
世の中全体が 新しい物語を求めて大きく動き出しました。
一月一日付新聞各紙をながめると、そのキーワードのひとつに「農」があることを確信しました。   
「農」の主である百姓が、「農の物語」を語らずして誰が語る。真の農業経営者こそが、日本を代表する大企業の経営者と同等以上の経営者になれるのだとの思いを強くします。農政の愚痴など言っている暇はありません。
目ん玉を大きく開き、しっかりと前を見据え前進あるのみ。 
百姓はじめて36年目にして初めて、肝っ玉が据わって来ました。
今年も ホームページ「かくだ発田んぼ通信(http://www.omokawa.com)」で百姓の心意気を発信していきます。
    よろしくお願いします。