NO,258 田んぼ通信 平成28・3・14

 今年も3月11日がやってきました。 あの時と同じように種モミの塩水選作業をはじめました。午後2時46分、遠くから市役所のサイレンが聞こえます。作業の手を休め東に向かって
妻と共に黙祷をささげました。 東日本大震災から5年が経ちます。 もう5年が経つのかと思うと感慨深いものがあります。 先月初め、久しぶりに津波の被害にあった隣町を訪ねる機会がありました。真っ先に向かったのは、5年前、消防団で応援出動した山元町磯浜地区です。福島県と接しているところで、国道6号線から車で数分も走れば太平洋です。 震災当時、海まで行く途中の道は、がけ崩れ等で車が漸く走れる状態でしたが、道路は立派に整備されていました。 震災前は、大きなホッキ貝などが獲れた豊かな小さな漁村で、村を常磐線が通り数百人が暮らしていました。大震災から5年が経ったいま、瓦礫はなくなったものの震災当時と何も変わっていません。 土台跡だけが、かつてこの地に人々の暮らしがあったことを物語っています。荒涼としたひろい大地を、海岸線の堤防工事のために大型ダンプカーだけが盛んに走っていました。
5年が経つというのに、福島県から宮城県南部にかけての沿岸部の復旧工事は道半ばです。
 ところで、今年も東京工業大学の留学生の皆さんがやって来ました。今年で、8年目になります。 2月24日から27日までの三泊四日。 今回は、タイ・中国・インドネシア・台湾・パキスタン・マレーシア・フィリピン・ドイツの8ヶ国。市内9軒の家庭にホームスティーしながら角田を楽しんでもらいました。 我が家には、タイ・マレーシア・台湾の三人のお嬢さんたちがやってきました。 JICAの研修員をはじめ外国人のホームスティーの世話を30年来 続けてきましたが、今回ほど ホストファミリーの手配に苦労した事はありませんでした。 
今回の、受け入れは16名。事前に8軒のホスト先を準備して待っていましたが、前日になってインフルエンザの発生や家族に突然の不幸がおこりキャンセル、しかも当日の朝になってからもインフルエンザでホスト先がキャンセル。相次ぐホスト先のキャンセル。愚痴をこぼす暇などはありません、即対応。これまでの経験と持ち前のネットワークを駆使し、到着前までにホスト先をなんとか確保。無事にホスト先に留学生を引き渡し、ホット一安心したのも束の間。
 ホスト先から、「いま家に着いたがインドネシアの留学生が、犬のいる家庭には 宗教上の理由で泊まれない。ということで困っている」との電話。ナンという事だ。という愚痴を言う間もなく、これも即対応。 終わってみれば、予定していたホスト先を前日から当日にかけて、8軒のうち 半分の4軒を新たにお願いし、合計9軒の家庭にするという前代未聞の事態でした。
外国人のホームスティは、 ホスト先を決めるには、事前に相手方の事務局から 宗教上の問題や食事に関するデータをいただき、男女、国別、日本語の程度など あらゆるデータを考慮してホスト先をお願いしてきました。 それが、前日しかも当日に ホストをお願いするという事は どんな非常識なことか、考えるまでもないことです。 それでも 愚痴を言っている暇はありません。 ホストを引き受けていただいた皆さんが二つ返事で即、了解していただいたことは、頭が下がります。 これまで仲間と共に歩んできた経験が活きました。角田の底力を見たおもいです。 それにしても、30年来 毎年のように80カ国以上の多くの国々の人を引き受けてきましたが、犬がダメというのは初めてでした。事前のデータにもありませんでした。厳格なイスラム教の家庭で育った学生で、食事はもちろんのこと、犬の唾液は不浄のものであり、家の中で一緒に住むということはとんでもないということでした。 またひとつ勉強になりました。
それにしても・・・・。 今回の事で、角田には本当に素晴らしい仲間がたくさんいることを再確認させてもらいました。 今回の御褒美は、留学生の皆さんの 明るい笑顔と角田に対していい印象をもって帰ってもらったこと。 角田の皆さん ありがとうという 感謝のことば。
それだけで、 苦労が吹っ飛びます。 そしてトラブルを含めて、今回もおおいに楽しませていただきました。 こちらから、東京工業大学の皆さんに あらためて ありがとう。
また来年も待ってかんね。


NO,257 田んぼ通信 平成28・2・15

 昨日の最高気温が20.5度。2月としては、観測史上で最も高い気温を記録したといいます。
さすがに20℃を超えると、厚着をしているせいか少し動くと汗ばみます。この暖かさで北向きの梅の花も、ほころびはじめました。まだ、2月も半ばというのに。 この暖かさで、あらゆる農作物の生育が進んでいます。そこで心配になるのが,晩霜の被害です。就農した40年前頃は、毎年のように晩霜の被害があったものです。最近は、温暖化のせいで大きな霜の害はありませんが、異常な天気しかも極端な天気の変動が気になります。 災害は、忘れた頃にやってくる。野菜や果樹など多くの農作物に、とんでもない被害が出る可能性があります。 今年の田んぼの育苗には、これまでになく注意が必要だと考えています。 ことしの御諏訪神社の筒粥目録によれば、作物の出来はあまり良くないとのお告げがありました。百姓仕事は、お天道様次第です。常にお天道様と素直に向かい合い、与えられた仕事を日々確実に積み重ねるだけです。 備えあれば憂いなし。
豊穣の秋を信じて、今年も本格的な農作業が始まります。
 ところで、先月末に外務省から突然電話がありました。 2月に政府の招へい事業で中国政府関係者がやってくるが、我が家を訪問したいという要請があったがどんな関係かというのです。 突然の事でこちらこそ ビックリ。そういえば、正月に中国国務院発展研究中心国際合作局局長 程国強さんからメールがあり、2月に日本に行く機会があるので、是非会いたいというメールをいただいた。正直、中国国務院発展研究中心国際合作局局長 なる人物、記憶にない。迷惑メールだと思い削除したが、半信半疑、もし仙台に来る機会があれば我が家にも、訪ねて欲しいなどと返信した覚えがある。そんな話を外務省担当者と話をしました。逆に、私の方からその人物、中国政府関係者というがどのくらい偉いのかとたずねるあり様。 そういえば数年前に農林中央金庫総合研究所の友人と共に中国の先生がやって来て、農業政策について話したことがあるが、わざわざ訪ねていただく様な関係ではない。日本の農業について調査するのであれば、宮城に来るまでもなく関東周辺に立派な農業者がたくさんいるので そちらを訪ねればいいのでは、という話をしました。  それが、どういうわけか今月の4日、その中国国務院発展研究中心国際合作局局長 程国強さんが 我が家にやってきたのです。
それも、中国から二人の御供と外務省から依頼された通訳さんを連れて。 
事前にいただいた資料によれば、今回の訪日は、外務省の中国からの招へい事業で2月1日から5日まで滞在です。
東京では、経済産業省、経済界、農水省、農中総研等の幹部との懇談など忙しい日程のなかで宮城県庁及び角田市役所で 農業関係との意見交換をし、わざわざ 我が家に来るというのです。
外務省の資料によれば、中国国務院発展研究中心(DRC)は、中国政府に直属する中国国内有数のシンクタンクで主要国の有力機関とも対話の枠組みもあるといいます。程さんは その中で国際会議、シンクタンク間の協力等の国際交流・協力を担当する部門の責任者だというのです。
そのような人物が何故。
前回は2013年2月24日に横浜国立大学客員教授として来日していた時に 農林中金総合研究所の友人と共に訪問いただきました。正直 前回のことは、ハッキリおぼえていません。 妻と共に新幹線の駅まで出迎えましたが、程先生から開口一番、今回の訪日の目的のひとつは、私に逢うことだ、という言葉いただきただただ恐縮するだけでした。前回は、どんな話をしたかは殆ど忘れていましたが、程先生はその内容を覚えていました。
前回の話を中心に現在の農政を中心に予定の時間2時間をオーバーして 3年前の写真等を見ながら和やかに懇談していただきました。現在我が家は、株式会社として農業を事業として展開する準備をしている最中だと話をすると、なんで法人にするのかという話題で盛り上がりました。中国でも新しい試みをはじめている。成果も上がっているので是非 北京に来てほしいという話をいただきました。今年から 次男が農業に参画しますが、同席していた次男に 数年後にまた日本に必ず来るのでその時はまた 是非 訪問したい。頑張って欲しいと言葉をいただきました。私からは、日本の農業は大きくかわる。 これからの激動の中で、なにがなんでも生き残りたい。倒産しないように頑張るので、また是非来て欲しいという話をさせていただきました。
 さて、我が家は、2月12日法人登記申請をしました。 これからは、「面川農場株式会社」として より一層皆様のご期待の応えるために事業を進めてまいりますのでよろしくお願い申し上げます。 私の名刺の肩書きは、
従来通り 百姓・面川義明です。 その心意気は、随時 話させていただきます。


NO,256 田んぼ通信 平成28・1・16

  寒中お見舞い申し上げます。
一年で一番寒い時期を迎えました。 それにしても、今年は、天気が へんです。
異常に暖かな日が続いています。正月も過ぎた昨日、この冬はじめて雪が積もりました。
それも、朝起きて うっすら数センチの雪化粧。昼までには消えてしましました。 異常すぎる暖かさで、麦畑は日増しに緑を濃くしてきました。麦を育ててから40年経ちます。いまの時期は霜柱がたち畑に入れません。 今年は、全く凍みていないのです。いままでないくらいの、生育の良さ。 好過ぎて心配になるほどです。 麦は、踏めば踏むほどよくなるといわれてきました。それでも、これまで春先に一回だけ麦踏み作業をするのがやっとでした。今年は、違います。 少しでも生育を抑えるために年末と数日前の二回、麦踏みローラー作業をしました。これも 初めての経験です。 年頭にあたり、今年の目標として「種を播いたら確実に収穫する」「基本に忠実な作業、精一杯手をかける」を掲げました。 異常すぎる天候。農業は、お天道様次第というものの、備えあれば憂いなし。 これまでの経験を基に、手を惜しまず田んぼに通うことにしました。 これが、なかなかたいへんなこと。あたりまえ過ぎる目標こそが難しい。
今年は、より一層 気持ちを引き締め農業に励みます。 よろしくお願いします。
 さて来月から 我が家は、「面川農場株式会社」として 農業を事業として展開します。
今年から東京の設計会社に就職していた次男が、あらたに経営に参画する事になりました。 
農業の法人化は、まえから叫ばれていた事です。いまはじまった事ではありませんが、なかなか踏み切れずにいました。 法人化の優位性が見いだせなかったからです。農業は、生業であり生活と事業が 一体化した暮らしそのものが生き方としてひとつの理想だ。「趣味は百姓、職業は 農業」そんな思いでこの40年間、百姓を続けてきました。 その思いは今でも変わりませんし、
年を追うごとに、より強く確信するようになりました。 それが、なぜ株式会社なのか。 
いま使っている名刺は、 百姓 面川義明 です。これからも、同じ名刺を使います。
私にとって株式会社化は、「趣味は百姓、職業は農業」の暮らしをこれからも継続する為の手段にすぎません。 農業を取り巻く環境は、急激に変わり始めました。その激動の中を生き抜くひとつの術として、また息子達の将来により責任ある事業展開をするために決断しました。
 これからも、よろしくお付き合いをお願いしたします。
 今年の 年賀状です。
明けましておめでとうございます。
これまで経験したことのない程の暖かなお正月を過ごしています。 あまりの暖かさに夏の天気が心配になります。おのずと気が引き締まります。 昨年4月、行政区長になりました。集落の戸数は70戸の小さな部落。 区長は、「区長さん」と呼ばれます。区長になってもう直ぐ一年が過ぎます。 なぜ、「さん」づけで呼ばれるか分かってきました。区長は集落内の慶弔に関する事はもちろん、地域の自治センターや市役所の諸行事に招待、出席を求められます。忙しいのにご苦労さんという思いを込めて「区長さん」と呼ばれるのだと・・・。いまでも、よく区長を引き受けたものだと驚かれるあり様。 行政組織の中でも末端で常に住民の暮らしと向き合いながらお世話をする。それが行政区長。いわば市役所の小間使い役です。今年の最大の目標は、集落の公民館を新しく建設する事。築60年を過ぎ市内で最も古い公民館。それを、新築するのです。元日の新年会で「来年の新年会は新しい公民館でやります」と宣言しました。総工費2千5百万円。一人暮らしや年金生活者が多くなる中、資金繰りから建設完工まで益々忙しくなります。 天候も異常ですが、世の中も激動の予感。まさに、歴史的転換点を生きているのでしょう。
こんな時こそ、足元を見つめ直し、自分に与えられた仕事を確実に積み重ねる。小さいことを大切に。種を播いたら確実に収穫する。
今年もよろしくお願いします。 平成28年 元旦