□ 船迫中学校の田植え指導物語 1 平成14・5

船迫中学校の田植え指導物語。(2002年5月)
事の始まりは、HPの掲示板。設置早々、熱血先生からの書き込み。
相談に乗ってください 投稿者:中里 寛  投稿日: 4月15日(月)09時56分24秒

掲示板開設,おめでとうございます。
柴田町立船迫中学校教員の中里といいます。
隣町にすんでまして,ウチでもいつも角田のおいしい「ひとめぼれ」をいただいております。

さて,突然で恐縮ですがご相談したいことがあります。
船迫中学校2学年では,「働く他人との交流」というテーマで
今年度の「総合的な学習の時間」を実施する予定です。
9月には柴田町内各事業所の職場体験学習等を実施する予定ですが,
その前段階として6月にまる一日の体験学習を予定しています。
生徒に職業観を培うことを考えた場合,まずは,一次産業に取り組むことが必要なのではないか
・・・ということで,職場訪問よりは農業体験を主に検討しています。

まる一日,へとへとになるまで117人の生徒をこき使ってくれる農家の方々,地区がないかと探しています。
角田地区でも丸森地区でも構いません。
また,「ここに相談したらいいよ」などという情報もいただければ幸いです。
ヨロシクお願いします。

柴田町立船迫中学校
1学年主任 中里 寛(なかざとゆたか)


ご相談に乗りましょう。 投稿者:百姓  投稿日: 4月15日(月)20時54分26秒

>>>中里様へ
日頃 角田のおコメをご利用下さいまして有難う御座います。
さて、ご相談の件ですがもう少し詳しくお話を聞かせてください。其の上で、検討させていただきます。角田市では一昨年に角田市農業振興公社を設立しました。公社は、地域農業戦略プランおよび其の実現の為の方策を検討する機関として発足しました。公社事業の中で「あぶくま農学校」の事業があります。其の中で、地域農業の担い手の育成並びに食農教育の里づくりを目指す事業を実施しております。私も、其の運営の責任者として携わっておりますので一度ご相談下さい
>>>中里先生!あなたの心意気しっかり受け止めました。
角田の百姓で、何とかしましょう。
ただし、条件があります。
それは、中学生のガキどもに私のHPを見て角田の百姓の心意気を少しでも感じてくること。
それが出来ないガキには私の田んぼには入れません。
イネは、生き物。一度てをかけたら後は知らん振り。これではダメです。先生には、秋まで何らかの形で付き合ってもらいます。出来ますか?いいコメを育てる事といい生徒を育てる事。これ同じです。まあ、楽しくやりましょうよ!

ガキどもとも゛とも 投稿者:中里 寛  投稿日: 4月22日(月)12時01分07秒

面川さんお世話様です。
面川さんの心意気,こちらも胸が熱くなるほどです。
裏を返せば遊び気分で「ガキ」どもに参加されてはならないと
私自身も気を引き締めています。
HPの件,既に学習計画に入っています。
面川さんのHPを見せること自体が貴重な学習です。
事前指導としては「お米ができるまで」「減反の現状について」
「農業の機械化について」「面川さんの農業の取り組みについて」
を予定しています。
この掲示板にもひょっとしたら「ガキ」どもの質問など寄せられる可能性があります。
その際には呆れないでお付き合い下さい。

くわしくはまたメールさせていただきます。

「ガキ」ともどもよろしくお願いします。

楽しくやりましょう! 投稿者:百姓  投稿日: 4月23日(火)05時15分33秒

>>>中里先生!あんた、やるきありますね。
こうなると、こちらも引くに引けなくなります。
毎日、角田のおコメ食べているそうですが、田んぼのこと、稲の事どの程度わかります?
もしかしたら、「ガキ」どもより先に先生に分かってもらう事が先かも?
まあ、百姓とすれば田んぼのファンが増える事は大いに結構!
超忙しい中、また仕事が増えると思うと辛いですが楽しくやりましょう!

掲示板の設置を機会に船迫中学校の皆さんの田植え授業の手伝いをする事になりました。
5月20日に田植えをします。
事前学習で質問がきました。以下はその内容です。(掲示板より)

質問させてください 投稿者:菅原麻美  投稿日: 5月 9日(木)14時58分13秒

こんにちわ 
船迫中学校2年生の、後藤智美です。
どうして船迫中の2年生に、面川さんにとって大切な田んぼを貸そうと思ったんですか?


シツモン米ベー 投稿者:阿部浩史  投稿日: 5月 9日(木)14時54分56秒
こんばんみー!面川さん、私たちは現役の船迫中学2年のズッコケ4人組です。それでは質問しますのでよろしくお願いします。

Q1
無農薬栽培はどのくらいむずかしいのですか?

ファイナルアンサー? 投稿者:植松良平  投稿日: 5月 9日(木)14時49分41秒
こんにちは、
ぼくは、船迫中学校の二年の植松良平です!今度田植えをさせていただきますので、
よろしくお願いします!さて面川さんに質問があります。
「農業で一番大変なことは何ですか?」答えを教えて下さい。・・・・ファイナルアンサー?   

質問です。 投稿者:船迫中2年女子  投稿日: 5月 9日(木)14時47分41秒
こんにちは。船迫中学校2年生の釼持
です。今回は、面川さんに質問をしたいと思います。面川
さんは、どうして農業という仕事をしようと思ったのですか。教えてください。


小松小松 正和
 
投稿日: 5月 9日(木)14時45分47秒の質問答えてください 投稿者:

船迫中学校の小松です。田植えではお世話になります。さーてさて、早速ですが質問したいことが
あります。面川さんは、なぜ米を作ろうと思ったのですか?教えてください。


質問させてください 投稿者:影山 瑛子  投稿日: 5月 9日(木)14時41分59秒
面川さんこんにちは、私は船迫中2年生の影山瑛子
です。
突然ですが、質問させて下さい。

Q おいしいお米を作るこつはなんですか?

5月11日に回答を書きました。


>どうして船迫中の2年生に、面川さんにとって大切な田んぼを貸そうと思ったんですか?

>>>これも、なにかの不思議な縁ですね。
どうしてかって。それは、中里先生の心意気に共感したからですよ。
船迫中2年生のガキどもを元気にしたい!という熱い熱い思いに・・・・。
人は、案外。理屈では動かないものかもね。人は、心意気や思いや感動を覚えた時に行動を起こすものかもね。分かりますか?
もうひとつは、一人でも多くのひとにおコメのファンになってもらいたいと
思っているからです。
こんな所ですかね。眠くなったので今日はこの辺で。おやすみ。

Q1
>無農薬栽培はどのくらいむずかしいのですか?

>>>どのくらい難しいのかって。
無農薬栽培の栽培技術に関しての質問なのか。無農薬栽培の経済性も含めた普及の可能性に関しての質問なのか。それとも、無農薬栽培の普遍性に関しての質問なのか。質問の意図がよくわかりませんが、日頃の私の農業感もふくめてお話しましょう。
先ずは、栽培技術に関してですが、農業の歴史からすれば無農薬栽培は、何も新しい事ではありません。しかも、経済性を考えないのなら栽培そのものも何も難しいことはありません。なにも、とやかく騒ぐ問題でないと思っています。
この際ですから、農薬の歴史を調べてください。
多分つい最近、たかだか50年のぐらいの歴史だと思いますよ。戦争の産物でしょう。それまでは、農薬を使いたくても存在しなかったのですべて無農薬栽培で農業は行われてきたんですよね。そんなの、当たり前でしょう。
ここで、農業の存在意義について少し考えましょう。
もう習ったと思いますが、人間が生きていくのに必要な基本的要件として「衣」・「食」・「住」といいますよね。農業は、「食」と言う要件を満たす為に大切な役割を担ってきたんです。分かりますか?また、農業の発達した過程も分かりますよね。人間が集落を形成して定住生活をするようになってから本格的に農業を始めたんでしょう。遠い遠い昔に。(何十年前に習った事だから間違っていたらゴメン。)
今年の一月に北タイの少数山岳民族・ラフ族の村を訪ねたんですが、この事がよく理解できたね。
彼らは、つい最近まで焼畑農業をしながら山の中を移動して暮らしてきたんだ。それが、最近の国際的な環境問題の影響で焼畑そのものが禁止された訳。
(焼畑そのものがすべて環境破壊につながるとは思わないがね)
そこで彼らは、何を考えたかというと集落を形成して定住をはじめたわけです。
当然、生きるために土地を耕し食い物を作り始めたんです。つまり、農業に取り組み始めたわけです。こうしてみると、農業の存在と人が生きていくということはイコールだと思えてくるね。
昨年、仙台の会合であるインテリ風お母さんが「農業そのものが環境破壊をしているんですね。」とモットもらしくヌカシあがった。この野郎と思ったね!あなたが生きているそのものが環境破壊を招いている。と云いたかったね。
なぜ、無農薬栽培に興味を持ったのかな。
環境問題から?健康的な生活をしたいから?
確かに、農薬は食物連鎖の関係で環境に大きな影響を与えた事は確かだね。
現在は、その反省に立って出来るだけ環境に負荷をかけない農薬の開発も盛んに行われているよ。生物農薬とかね。
人間がこの地球上に定住する限り農業も存在するだろうね。
ただ問題なのは、人間が生き続けるということを前提とした場合どのような農法を選ぶかは大切な事だと思うよ。また、少し難しいことだが、世界の貧困と環境問題はこれまた密接な関係があるんだ。
自分自身の健康のため?無農薬栽培の物を食う前に、やること他にイッパイあるでしょう。
そんなことを考えると、この問題はたいへん難しい問題だと言えるよね。
百姓だけの問題としてではなく、いま生きている全ての人の問題として考えて欲しいね。安部君!あなた、個人の問題ですよ。
ちょっと、難しかったかな。


>「農業で一番大変なことは何ですか?」答えを教えて下さい。・・・・
農業と一口にいっても色々あるんで、自分でやっている稲作に関してお答えします。
先ずは、栽培に関してですが今の日本の稲作技術は見方によっては完成の域に達しているといえます。少なくとも、稲の生理学的解析や多収理論に関しては
世界のトップレベルにあることは間違いでしょう(百姓の思い込みかも?)。
今、中国でも稲作に盛んに取り組んでいるけど中国の研究者が日本の文献がおおいに役に立っていると云ってたよ。
問題なのは、理論どうりに現実の生産がいかない事だね。
多分これは、農業という職業は他の仕事と違って人間の力が及ばない所に生産の殆んどを委ねているからでしょうが。つまり、お天道様のご機嫌と共に仕事しているからだ。天気予報・特に長期は予報殆んど当たらないでしょう。
多分、日本の気象予報関係で働いている人がバカなのではなくて、少なくても俺よりも少しは勉強したひとが、世界最高レベルのスーパーコンピューターを駆使して予報を出していると思うよ。
それでも、当たらない!
そのお天道様相手の仕事だもの。わかるでしょう。
こう考えると、研究者が書いている理論なんて現実でおきていることの屁理屈でしかないと思えてくるね。
仕事では、草取りだね。百姓は草との戦いだ。草を見ずして草を取る。
これが鉄則。理屈なくやってみないと分からないね。
経済的には、農産物の値段が安くて困っているね。なにしろ、再生産が出来ないくらいに全ての農産物が安くなっているよ。経済行為として農業を続けるかぎりこの問題は避けとうれないね。このままでは、日本から農業は無くなるかもね。人間が生きる手段として農業が必要なら百姓だけでなく植松君も本気になって考えて欲しいね。


釼持さんの質問にお答えします。
>どうして農業という仕事をしようと思ったのですか。教えてださい。
>>>どうしてかなあ・・・。正直言って子供の時からも含めた、これまでの人生の中で農業以外の仕事を本気で考えた事なかったね。小学校5年の作文に俺は百姓やるんだと書いた覚えがあるよ。そもまま、当然のごとく農業高校へ入りその後2年間だけ千葉の農業関係の学校に遊びに行って、帰ってきてから今日まで百姓。もともと、家が専業農家。そこの長男。あたりまえの如く百姓になっただけかな。ただそれだけ。高校までは、家の手伝いは殆んどしなかったね。部活ばかり。
考え様によっては、俺みたいな単純バカはやる事が決まっていたから幸せだったかもね。
何も、偉そうな事はいえないが自分のやるべき事(夢)をみつけその夢の実現に向け日々暮らせることは幸せな事かもね。

小松さんの質問にお答えします。

>なぜ米を作ろうと思ったのですか?教えてください。

>>>たまたま、家で比較的大きく稲作をしていたからかな。
今でも、田んぼに行くとホットするから案外イネが好きなのかもね。
そんなところかな。

影山瑛子さんの質問にお答えします。

>Q おいしいお米を作るこつはなんですか?
どんなコメが食べて美味しいと感じるか。これは、コメの成分分析も含めて大分わかってきました。結論から言えば、うまいと感じる成分を多く含んだコメに仕上げればいいことだね。大雑把な言い方ですが、有益な微量要素(ミネラル分)を多く含んだコメを作る事だね。
例えば、水で云えば純粋な蒸留水はまずいでしょう。ミネラル分を多く含んだ水は美味しいと感じるでしょう。基本的には同じですよ。特に、リンやマグネシウムなどが関係しているともいわれていますが、それらのミネラル分をおおく含んだ土でイネを育てる事だね。土壌の種類で云えば泥炭土壌や砂質土壌よりも粘土質土壌のコメが美味しいといわれているのは、粘土質土壌のほうがより多くのミネラル分を含んでいるからだと思うよ。いずれにしても、土づくりも人の努力なしではできないので美味いコメをつくるぞ!と言う熱い思いを持つことが一番たいせつだろうね。そして、真面目に田んぼに通うこと。田んぼに通った分だけコメは美味くなるのだろうね。